Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
人の思いというのは、現実を創り出す力を持っています。思いには、エネルギーがあります。言い換えれば、今の自分の状態は、過去の意識(思い)が作り出したのです。
脳の機能として、RAS(毛様体賦活系)というものがあります。RAS(毛様体賦活系)は、脳の中のフィルターの役割をしています。脳に入って来た情報の99.9%がフィルターを通過できずに消えてしまいます。残りの0.1%だけがフィルターを通過して、脳で処理されます。RAS(毛様体賦活系)のフィルターを通過する0.1%とは、どのような情報でしょうか?
それは普段、意識していたり興味関心のある情報がRAS(毛様体賦活系)のフィルターを通過する0.1%になります。すなわち脳は、意識していたり興味関心のある情報を集めるように働くのです。
病気にならないように気を付けるだとか、寝たきりにならないように気を付けることに意識を向けると、病気になったり寝たきりになったりしてしまいます。どういう事かというと、病気にならないようにとか寝たきりにならないようにと意識すると、病気になっている状態をイメージしたり寝たきりになっている状態を脳は勝手にイメージしています。脳は、イメージしたことがリクエストされたことだと思って、一生懸命そのことを叶えようとして動き出します。病気になっている人や寝たきりになっている人の話やテレビでの映像が、どんどん集まってきて脳のフィルターを通過して、イメージをより強くして行きます。避けたいと思っていたことを現実化して叶えてしまいます。仏教でいう、空即是色(くうそくぜしき)です。思った通りになるのが人生であるということです。潜在意識(無意識)に描かれた通りのことが、形となって現われてくるということです。
なので避けたい状態に意識を向けるのではなく、なりたい状態や本当に望んでいる状態に意識を向けて行きます。例えば、健康でいつまでも趣味のゴルフをするということを意識していると、そのことを叶えるための情報がRAS(毛様体賦活系)のフィルターを通過して脳に集まってきて自然と記憶されて行きます。健康で自分の好きことをして、日々楽しんでいる人と仲良くなったり、テレビ画面から100歳で生き生きと人生を楽しんでいる人の映像が目に飛び込んできたりします。そうすると、脳で健康で好きなゴルフに熱中している状態のイメージが作られます。イメージしたことがリクエストされたことだと脳は受け取るので、健康でいつまでも趣味のゴルフをするということが自然と叶います。
なぜ、避けたい状態に意識を向けやすいかというと人間にも防衛本能が備わっているからです。危険を避けて生き延びようする本能です。でも本能に引っ張られ過ぎると向かうべき方向を見失ってしまいます。まずは、自分が何に意識を向けているかに気づき避けたいことに向いていれば、本当に望んでいることに意識を向け直すようにしていきましょう。
Youtube動画で説明しています。
先日、行われ日本が世界一になったWBCでMVPに選ばれた大谷翔平選手が高校一年生の時に書いたマンダラシートです。ドラフト一位で8球団から指名されることが目標・目的であり、目標・目的を達成するために必要な手段が、運・メンタル・コントロール・スピード・人間性・体力づくり・キレ・変化球です。運・メンタル・コントロール・スピード・人間性・体力づくり・キレ・変化球のレベルが上がれば目標・目的が達成されると高校一年生の時、大谷翔平選手は考えました。目標・目的を掲げて、達成するために手段を考え目標・目的に近づき達成して行きました。
目標・目的と手段が明確化することで脳は、例えばヨーロッパ旅行(目標)に行くには、『健康な体が必要ですね』了解!となります。そこで間違いやすいのが『体が調子よくなったらしよう』と思うことです。『体が調子よくなったらしよう』では、脳は本気にしません。体調が悪くても今出来ることから取り掛かることが重要です。旅行のパンフレットを見るとかパソコンでヨーロッパの景色を来てみるとか、何か一歩踏み出すと脳は本気で目標・目的が達成できるように体を調整し始めます。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
イップスの選手の脳内は意識(顕在意識)では上手く投げたいと思っていても、無意識(潜在意識)の領域は、不安や恐怖を感じています。いうなれば、意識(顕在意識)と無意識(潜在意識)が戦っているような状態になります。防衛本能からすれば不安や恐怖は命の危機と捉え、体が硬直したり(凍りつき反応)逃走反応(投げることを避けたい)という状態になります。
体では自律神経の中の交感神経↑、ホルモンのアドレナリン、コルチゾール↑(苦痛系)の働きでイップス特有の反応が出ます。
正常な状態の選手の脳内は意識(顕在意識)では上手く投げたいと思ったら、それを補助する形で無意識(潜在意識)の領域がサポートしてくれます。楽しくプレー出来て幸せを感じ充実感が得られる状態です。
体では自律神経の中の副交感神経↑、ホルモンのドーパミン、セロトニン、オキシトシン↑(報酬系)の働きで動きやすく自由にプレーできる状態です。
イップスを克服した時の脳内は動作や心の状態から気づきを得て、不調和の原因が分かり安心が得られた状態です。この時、大きく自己成長した瞬間です。
イップスの選手の脳内は意識(顕在意識)と無意識(潜在意識)が戦っているような状態でした。意識(顕在意識)と無意識(潜在意識)が分離しているような状態です。
イップスを克服した時の選手の脳内は意識(顕在意識)と無意識(潜在意識)が統合されて、今まで分離していたので繋がるような形です。
体では、プレー時に交感神経↑、ホルモンのアドレナリン、コルチゾール↑(苦痛系)から副交感神経↑、ホルモンのドーパミン、セロトニン、オキシトシン↑(報酬系)に徐々に変わってきます。
脳のしくみが分かるとアプローチの仕方が分かり、より効果的なことを施すことができます。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
Youtube動画で説明しています。
どのスポーツのイップスでも同じですが失敗することや過度のプレッシャーや緊張状態を経験することで、その動作が負(-)の記憶(恐怖や不安)として脳の扁桃体に残ることがあります。次に同じ動作をしようとした時、扁桃体に記憶された負(-)の記憶を投影して現在を見てしまうので、過度の緊張状態を作り体の屈筋が収縮して思うようにプレー出来なくなるのがイップスです。
当院独自に開発した動画分析について触れて行きたいと思います。ゴルフのパターでイップスになったとします。まず構えた時、①足の裏のどこに体重が乗っていますか?踵の方ですか?つま先の方ですか?それとも真ん中ですか?上手く打てていた頃は、足の裏のどの辺りに体重が乗っていたか思い出してみましょう。
②膝には、どのような力が働いていますか?それとも何も力が働いていませんか?お尻の部分は、どうでしょう?何か力が働いていますか?それとも力が働いていませんか?上手く打てていた頃は、どうでしたか?
③頭の部分には、どのような力が働いていますか?それとも何も力が働いていませんか?上手く打てていた頃は、どうでしたか?
④膝の曲がり方は、どうですか?股関節の曲がり方は、どうですか?腰や背中は、曲がっていますか?それとも伸びていますか?上手く打てていた頃は、どうでしたか?
まずパターを上手く打つには、バランスよく力感なく自然に構えられることが大切です。まず安定した構えが出来ていなければ、いくら練習しても無駄になってしまいます。
もし、バランスよく力感なく自然に構えられていなければ、①~④をチェックしてみて下さい。動作のバランスを崩している原因が見えてくるかも知れません。
なぜ、心は変化するのでしょうか?その背景にあるのは「愛と恐怖」です。私たちは肉体を持って地上に生まれてきます。そして人間独特の発展をしながら、社会の中でさまざまな人々と生きています。もちろん、人間だけでなく、いろいろな生命体とも共存して生きています。この地球上で人間として存続していくためには、肉体を持ち、人間同士で共存し、またいろいろな存在と共存して生きていかないといけないのです。そのために私たちは、肉体をまとっていると同時に、心というものもまとっているのです。
その心を作っているのが、命を維持するために必要な「愛と恐怖」なのです。
親が子供を愛さなければ、子どもを育てることはなく、子どもは死んでしまいます。また、異性を愛さないと、子どもが生まれず子孫が残せません。人類の存続には愛が必要なのです。
では恐怖はというと、それもなければ、人間を襲う野生の動物や天敵が現れたときに、逃げずに捕まってしまい、食べられたり殺されたりします。今も新型コロナへの恐怖があるから、自分の命を守るためにマスクをしたり、殺菌したりと対策を講じるわけです。
ですから、人間には恐怖感も必要です。適度な恐怖は自分を守る道具なのです。
愛と恐怖は二つに分かれていますが、もともとはどちらも本当の自分が命を存続させるために作っているのです。
この愛と恐怖という二つの大きな心によって、心の状態は常に変化します。
その時に、恐怖が多すぎてしまうとどうなるでしょう?相手にやられるのではないかという恐怖が強ければ、たくさん武器を持って、相手を攻撃するかもしれません。国同士でも、お互い仲良くして、仲間になれば一発で解決するのに、争って武器に膨大な費用をかけ、逆に命を奪うような行為をしてしまいます。恐怖が過剰になれば、人は自滅に向かうのです。
もし車がどういう性能なのかわからない人が運転したら、ちゃんと進まない上に、最後は壊してしまうかもしれませんね。人間も同じです。過剰な恐怖心のような心の扱い方が分からないと、自分自身を壊してしまうのです。
壊すのは自分だけではありません。人間関係も壊します。人間関係が壊れたら、当然それによって協力者や味方がいなくなります。そうすると、必要なお金も入ってこなくなるという悪循環になるのです。
ボールの握り方
ボールの握り方1つにしても、人それぞれいろいろな握りでボールを投げています。長年、野球をしていると今やっている握り方が当たり前になり、握り方が悪いとか握り方を改善してみようとは、なかなか考えないものだと思います。
せっかく全身で作ったエネルギーもボールの握り方が悪ければ力は上手くボールに伝わりません。ボールに上手く力の伝わらないリリースになってしまうと不安になり、無意識的にブレーキをかけるような動きになります。
全身で作った力が陰ならば、その力を受け取り外界に放たれたボールは陽です。陰陽は、常にバランスされているのでボールを正しく握れていなくて、ボールに上手く力を伝えることが出来なければ放たれるボール(陽)のエネルギーは、小さくなります。陽のエネルギーが小さくなれば、陰と陽は常にバランスしているので、陰である全身の力も小さくせざる負えないので、自然とブレーキをかける動きになったり腕が縮こまったりしてバランスを取る形になります。
ボールの握りは、陰と陽を繋ぐ架け橋ということになります。ボールの握り方は、上手く投げる上で大切なことの一つです。
大変ありがたいことに、私は、病気というのは、私たちの人生を立て直すための〈贈り物〉である、ということに気づきました。
確かに、〈物質体〉―つまり肉体―は病気の原因ではないのです。物質体は、それ自体では何ものでもありません。魂―つまりスピリットーから流れ出る生命力こそが、肉体を維持しているのです。肉体は、私たちの内面で起こっていることを反映しているに過ぎません。
ですから、病気になった肉体というのは、もとの平衡状態を取り戻そうとしているだけなのです。というのも、肉体の本来の状態は健康な状態であるからです。
そうしたことは、〈感情体〉、そして〈精神体〉に関しても同様に言えるでしょう。
以上の考えに従うことで、あなたが失うものは何もありません。いや、失わないどころか、病気の本当の原因、そしてその解決法を知ることが出来るのです。
ただ、あなたのエゴは、病気の解決方法を手に入れることに対してとても大きな抵抗を示すはずです。というのも、このメタフィジックな手法は、あなたの生き方を問い、あなたの〈間違った信念〉に変更を迫るからです。エゴはそれをすごく嫌います。
では、エゴとは何でしょうか?
エゴとは、極端に言って、あなたの過去の記憶なのです。長い年月のあいだに、あなたの記憶が主導権を握り、あなたの人格を支配するようになってしまったのです。
あなたが出来事をどのようにとらえるかというその見方が記憶の中に保存されてきました。その出来事が特別に幸福だったり不幸だったりすると、あなたはそれを記憶に強く刻印することになります。
そうした記憶に基づいてあなたな結論を出します。そして、その結論にもとづいて、あなたは自分の行動を決めるのです。
もし出来事が不幸であったのなら、あなたはそうした不幸を避けようとし、出来事が幸福であったのなら、あなたはそうした幸福を繰り返し味わおうとします。
そうした記憶はあなたの中でさまざまな〈人格〉を形づくります。そして、それらの人格自体が、生き延びようとする意志を備えるに至るのです。
記憶がよみがえって人生を方向付けるたびに、あなたは、それらの人格にエネルギーを与えることになり、そのエネルギーがそれらの人格の栄養になります。
それらの人格は実体を持っています。人間の普通の人格とまったく同じなのです。そして、あなたに語りかけることができます。あなたの心の中であなたにささやきかける無数の小さな声が、実はそうした人格たちなのです。
一方、あなたが何かを信じたのは、それを信じることによってさらに幸福になれる、と考えたからです。しかし、残念なことに、幼い頃そのように信じ込んだことの大部分が、現在、役に立たなくなっています。ただ、ほとんどの人はそのことに気づいていません。
悩みに対して、知的思考や論理的、分析的に解決しようとするのは左脳の働きだが、考えても答えの出ない自分自身の問題の答えは、左脳を使っても解決しない。それに代わって、直観やひらめき、連想といった右脳活動の力こそが必要になる。論理的な左脳は、右脳の感性や直観を抑制してしまうことがあります。その人の感性や感情が本当の自分とも言えるのです。
大切なことは、本当の気持ちを意識でき、抑制しないで、しかも感情的にもならずに上手に表現することです。しかし、自分の気持ちを抑制しないで表現しようとすると、見捨てられる怖さや否定される怖さから素直になれないことがある。これは、「自分が満足するように生きていいよ」という無条件の愛の実感を教育や親から受け取ってこなかったことが考えられる。あるいは、学校や社会、マスコミの影響で自己主張することは「生意気だ」といった間違った思い込みを刷り込まれたことが原因と言えます。また日本人は相手の感情に誠実であろうとしますが、自分の感情には誠実でないことが弱点になることがあります。
薬さえ飲めば、それで病は治るものだと思っている人がいたら、これまた大変な見当違いである。
最近は、世の中ずいぶん科学的な思考になり、すべてにおいて合理的な考え方をするようになってきたとは言うものの、いざ病にでもなると、案外こういう早とちりをする人が多いことは、まことにもって残念なことである。
薬さえ飲めば、それで病は治ると思っている、そういう気楽な人は、実際世の中には、案外といるものなのである。でも、こういう考え方は、最もいけない考え方で、それも昔のように、草根木皮を主体とした、いわゆる漢方薬ならまだやむを得ないと言えるのだが。
それと言うのも、さしたる中毒反応も無いからではあるが、しかしこれも、厳密に言えば漢方薬といえども、きわめて微かではあるが、やはり副反応という弊害が無いとは言えない事も、一応は知っておいたほうがよい。
だが、あったとしても、たいしたことはない。少なくとも、決定的な障害とはならないものである。科学的に合成した薬となると、これは、そのほとんどが、大なり小なり副作用というものが生ずる。
つまり、鋭敏な中毒反応を起こすのである。これが薬害だが、これは一般に考えられているより、はるかに恐ろしいものがある。もちろん、時には治すどころか、反対に命取りにさえなりかねないのである。
これは、時折実例があるから、よく分かると思う。何しろ無機質の薬というものは、生きている体内に入ると、どうしても中毒反応を起こす。何故なら、無機質には、命が働いていないからなのである。
しかも、薬というものは、必ず効くという、いわゆる特効薬は、きわめて少ない。つまり、薬のほとんどはいわゆる対症療法の薬であり、一時的に症状を抑えるという効果はあるのだが、本当に治してくれるものではない。ここが、大事なところなのである。
なるほど薬は、一時的に苦痛や悩みから、ある程度人間を解放してくれるかもしれない。したがって時には、それで一見治ったような気分になるかもしれないが、しかしそれで、根本的に治っているというわけではないのである。
例えば、解熱剤を飲めば熱は取れる。しかし、だからと言って、それで病が治ったというわけではない、と言うが如しである。
では、いったい誰が治してくれると言うのか。それは、あくまでも、人間が本来持っているところの回復力が治してくれるのである。つまり、誰でもが持っているこの自然治癒力という、偉大な働きによって治るのである。薬物というものは、あくまでも人間が本来持つ自然治癒力をより有効に発揮するための補助的手段に過ぎない。
したがって、病になったらこうした基本原則を、まずもって念頭に置いておくことが、治病への第一歩でなければならない。
過去の心の傷に意識を向けず蓋をした状態が続くと、肉体は痛みや症状で心の傷を表現してきます。肉体の痛みや症状を治療して痛みや症状が緩和されたり無くなったりしても、心の傷が残ったままだとまた再発するか全く別のところの痛みや症状で表現してきます。
大切なことは心に蓋をせずに内面としっかり向き合う決意をすることです。そこがスタートラインになります。心の傷を生きる事や成功への原動力にすることは間違いです。心の傷を頑張ることのエネルギーとして使っている方も多いように思います。心の傷をエネルギーとして使っていると、頭打ちに合い必ずいつか体調を崩してしまいます。成功者と言われる人達にも多いかも知れません。
ご自身の心と向き合い傷を癒すと自然と肉体にエネルギーが循環して、痛みや症状は消えていきます。人生のベクトルも定まり働き方や生き方までも変わって、心地よい感覚が得られるでしょう。
病気や症状は、魂からの重要なメッセージを伝えてくれます。メッセージは、肉体を使って表現されます。病気や症状に隠されたメッセージをギフトだと思って、しっかり受け取り魂からの訴えを聞き入れ理解した時、自然と病気や症状は治って行きます。
魂・心・思考にギャップがあると脳はストレスを感じます。脳が長期間にわたり過度のストレスを感じると大脳辺縁系の扁桃体が反応して、アドレナリンやコルチゾールなどのホルモンを分泌されます。交感神経が優位になり、免疫は下がり血糖値上昇、心拍数も高くなり病気になりなりやすい状況が出来上がります。魂のメッセージに耳を傾け本来のあるべき自分に気づくことが出来れば、すべて治まって行きます。
それは、大正のはじめ頃のことであった。
そのころ、木挽町の六丁目に、上総屋という大きな染物屋さんがあったんです。その娘がねぇ、腸結核になって、もう手がつけられない状況になったんです。ところが、ひょっとした縁で、私が往診に行くことになった。
と言うのは、大谷博士からの依頼があったもので、やむなく行くことになったんですが、なんでも、その大谷博士の親戚の孫娘だという。
だいたい大谷博士は、私の先生の青山胤道という方の親友だったんです。ともに内科では、日本でも有数の大家と言われた人だけど。
そこで、青山先生にこの事で相談したらしいんですよ。すると、
「中村君に頼んだらどうだ。それなら同じ死ぬのでも、苦しまずに死ねるだろうから」
そう言われたって、言うんです。
まるで坊主か、葬儀屋だなあと思ったんだが、
「君は、心のほうもよく面倒見てくれるようだから」
と言われれば、悪い気はしません。そしてね、
「ですから、もちろん、助けてくれとは言いません。でも、どうせ駄目なら、眠るが如くに往生させて欲しいんです」
こう言われるんですよ。
そこで行って診たんですが、もう痩せ衰えてねぇ、糸のようなんです。この娘というのが、二十歳くらいでしたが、おしゃまな子でね。
一応診察して、私が手を洗っていると、
「先生、私、腸結核ですね」
と言う。
「いや、そんな病じゃないよ」
「嘘、駄目よ、そんなこと言っても。知ってるんだから」
そして、
「大谷先生が、お母さんに言ってるの、聞いちゃったんですから」
これはねぇ、注意しなければいけないのだが、重い病人と言うのは眼は見えなくなるけど、耳は非常に鋭敏になるんです。ですから、小声で言ったもの聞いてしまったらしいんだ。
ちょうどそこへ、その子のお母さんが出てきて、
「お暑いところを、有り難うございます」
と言いながら、出してくれたのがアイスクリームだった。そこで私はねぇ、ふっと、あることを思いついたんです。
「お嬢さんねぇ、大谷先生は何と言われたか知りませんよ。でもね、大谷先生だって、自分の診方に間違いがないかどうか、そう思ったから私を頼んだのでしょう。ですから私は、私の診断を言っているんです」
そう言ってみた。するとね、
「そんなこと言ったって駄目よ。自分でも分かるの、腸結核だって」
「ああそう。でもね、腸結核と言うのは伝染力が強いし、大変恐ろしい病だけど」
「なら、あんまりそばへ近寄らないほうがいいわよ」
「でも、そんな病じゃないから、私は少しも恐くなんかないですよ」
そしてねぇ、私は、そのアイスクリームを手に持ちながら、
「そうだ、では、こうしよう。あんたが腸結核なら、あんたがちょっとでも口につけた物は、顕微鏡で見たら、黴菌がたくさんついていることになるね」
「・・・・・・」
「でも、あんたは腸結核じゃあないんだから、これ、一緒に食べよう」
そう言って、一口、その子に食べさせて、それから、
「いいかい、これを私も舐めるよ」
そう言って、私が何度も舐めて見せたんです。
するとね、驚いた顔をして、じっと食い入るように私を見ていた。それはもう、信じられなかったんでしょうね。でも、一度ではいけないと思って、また彼女に舐めさせて、それから、また私が舐めた。
どうせだから、念を入れてと思って、三度四度と同じようにやって見せたんです。
するとね、そのうちに、涙をぽろぽろだして、泣きだしたんです。
「それでは、私は腸結核なんかじゃないのね」
って言うから、
「もちろん、腸結核なんじゃないですよ。私はそんな病になりたくないし、ましてあんたと一緒に死にたくなんてないからね。何でもないから、こうして一緒に舐めてるんだ」
そう言ったらねぇ、感きわまったんでしょうね。とうとう大きな声をだして泣き伏してしまった。
もう助からないと思っていたのが、腸結核ではないと知って、死なずにすむと、そう思ったんでしょう。
それからなんです。それまでのような暗い病人の顔から、普通の人間の気持ちに戻ってくれたんです。すると、どうでしょう。まず顔色からして違ってきた。そして、日を追うごとに少しずつ太ってきたんです。
これはもう完全に、回復の兆候なんです。そうして結局、あの、さしもの腸結核が治ってしまったんですから。これは絶望から希望へと、心が転換したからだが、これが体に大きく影響して、結局、病も完全に治ってしまったんです。
これには、私自身あらためて、心の影響の大きさを思い知らされたのだが。そして、それから五年後には、なんとその娘さんはお嫁に行ったんです。それで、今はもう五十を過ぎているけど、まだ元気でいます。
ですから、こうした現実を見ると、病の時は、決して病に負けてはいけない、ということが良く分かるでしょう。
イップスになると、とても辛く感じると思います。イップスとは、何でしょうか?いったい何の為にイップスになったのでしょうか?人生で起こる辛く感じる出来事は、なぜ起こるのでしょうか?
それは、人生の中で時々、自分自身をレベルアップさせる為の課題を天からプレゼントされているからです。その受け取ったギフトとしっかり向き合って乗り越えた時、必ず以前よりレベルアップしたご自身になっていると思います。
イップスは、ギフトであり自分自身に天から与えられた課題です。課題は消化しないかぎり残り続けます。イップスになり上手く行かない嫌悪感、周りの人に迷惑をかけたという罪悪感、プレーで恥ずかしい思いをしたという羞恥心、プレーで感じた恐怖心、なぜ自分がイップスになったのかという怒りの気持ち、次は上手く行くだろうかという心配する気持ちなど、これらはイップスを乗り越えない限り、心に残り続けます。
当院には、30歳代・40歳代・50歳代の方もイップスの治療に来られます。それは、10・20・30年前から残り続けている課題を消化しに来られていると思っています。それだけ人生の中で課題を残したまま進んだ場合、心に負の感情が残り続けるということです。辛い過去の記憶にフタをしても心には、誤魔化しは利きません。
イップスは、ギフトであり天からプレゼントされたものです。乗り越えた時、素晴らしく成長したご自身に出会えるはずです。イップスの治療は、単にスポーツのパフォーマンスの向上ではなく、人生の軌道修正という深い意味があるのです。イップスであることを一日でも早くやめて、輝ける自分になり次のステップに進みましょう!
イップス(テニス・バトミントン・バレーボール・卓球)
当院は、野球のイップスを専門で治療してきました。野球専門のイップスの治療なのですが、他の競技のイップスでお困りの方からの相談を受けることもありました。その場合は、電話で話した上で治療をお受けすることもありました。そういう中で他の競技のイップス治療でも効果がしっかり出せることが分かって来たので、これからは、テニス・バトミントン・バレーボール・卓球のイップス治療を正式にお受けしようと思っています。テニス・バトミントン・バレーボール・卓球は、野球の投球動作と共通点が多いので正しい動作分析が出来ると思います。
テニス・バトミントン・バレーボール・卓球のイップスで治療をお受けになる場合は、私のLINEにプレー中の動画を送って下さい。(動作がよく分かるもの)*第三者に動画を見せることはありません。動画を送ることに抵抗のある方は、止めておいてください。しっかり動作分析してから治療を行っていきます。治療をご希望の方は、電話かメールでお問い合わせください。
野球に関しては、今まで通り動画は、必要ありません。(ご希望であれば動作分析致します。LINEにプレー中の動画を送って下さい。)
*ゴルフのイップスは、お断りしています。院内でスイング出来ない為。
正しい方向へ
イップスになった選手は、今の状況から抜け出そうとして日々努力されていることと思います。しかし努力して改善したかと思っても、すぐに逆戻りするのがイップスです。野球を辞めたい気持ちになることもあると思います。そういう時に一度考えて頂きたいのは、本当に正しいことを知った上で努力しているのか?その努力の方法は、正しいのか?多くの場合、努力しても上手く行かない時は、やっていることが間違っていたり、努力の方法が間違っていることがあると思います。正しいことを知らずに努力を続けると結果が出ないだけでなく、努力すればするほど逆に悪化していくことになります。イップスで悩んで野球を辞めたいと思っているなら、一度落ち着いて正しい努力が出来ているか考えてみて下さい。正しい努力が出来れば、必ず結果は出ます。
私が思う正しい努力とは、1.体の構造(関節の構造)2.運動物理学 3.意識の仕方を理解した上で練習するということです。そうすれば必ず良い結果は、出てくれることでしょう。
好きで続けている野球だと思うので、あきらめずにチャレンジしてください。逃げずに乗り切ることで精神的に成長出来て、すばらしいプレーが出来るようになると思います。
一年を振り返って
今年は変な感染症の流行で世界中が大変なことになりましたが、当院は、みなさんのおかげで通常通りの営業を一年続けることが出来ました。心より感謝いたします。 そんな中でも今年は、去年を上回る患者さんの来院数になりました。九州や関東、中国地方からも多くの患者さんが来院して下さいました。自分自身は、一年いろんな経験が出来て成長出来たのではないかと思っています。反省点としては、もっと計画的に事業拡大出来れば良かったのではないかと思っています。来年は、①DVDを作る。②ネットを使ってもっと自分の考えを発信する。③日本中から患者さんに来院して頂けるような治療院作りをする。を目標にやって行こうと思っています。日々勉強して人間的成長と治療家としての成長をしていきたいと思っていますので、今後もよろしくお願いします。偽イップスについて①
今まで説明してきたようにイップスは脳の中の扁桃体にミスなどにより投げることが恐怖条件づけされて、次に投げようとすると扁桃体は、すぐに反応して防衛本能が働きます。防衛本能が働くと脳内のドーパミンの量が減少します。ドーパミンの量が多い状態だと体は動きやすく、少ないと体は動きにくくなります。その他に視床下部では自律神経的変化が起き、下垂体ではホルモン分泌が起こり体は、屈筋優位の状態になりイップスが起こります。 イップスの選手を治療している中で、このような扁桃体の反応が見られない方が10人中1人ぐらいの割合でおられます。当院のブログのイップス研究報告⑱やYoutubeのイップス研究報告⑩を見てイップスの検査法を正しくやっても何も反応が出ないのにボールを投げようとするとイップスの様な症状が出て上手く投げられない方がいると思います。投げることに扁桃体が反応してないのにイップスのような症状が出ている状態を私は、偽イップスと呼んでいます。
偽イップスとは、扁桃体が反応していないのにイップスのような症状が出てしまっている場合で、これがどういうことかと言うと体には、いろいろな反射と呼ばれる機能が備わっています。反射の中でも伸張反射と言う脊髄反射が偽イップスに関わっていると考えています。筋肉が瞬間的に引き伸ばされると収縮する反射を伸張反射と言います。
筋肉の中には筋肉が伸びたことを感知する受容器(筋紡錘)があり、筋肉が伸ばされると感覚神経を通じて脊髄に信号を送ります。感覚情報は後方(後根)から脊髄に入り、脊髄の前方(前根)から同じ筋肉を支配する運動神経に信号を送り筋肉を収縮させます。このような反射を伸張反射と言います。
テイクバックは、投げる為の助走の役割をしている動作になります。間違ったやり方は、テイクバックで反動を付けるような動きでこのような動きになると上腕二頭筋や上腕筋、大胸筋、小胸筋、三角筋の前部繊維などに瞬間的に引き伸ばされるような力が働き伸張反射が起きることがあります。
伸張反射が起こると筋肉が収縮するので屈筋優位の状態になり腕が縮こまったり、腕が引っ掛かったり、肘が下がったりします。これが偽イップスです。偽イップスを防ぐにはテイクバックの時に先ほど言った筋肉に伸ばされるような力が働かないようにすることです。
イップスが奇病や局所性ジストニアと言われることがありますが、私は投球動作で起こるイップスのような現象は、奇病や局所性ジストニアなどのいわゆる病的な状態ではなく、①扁桃体で投球動作が恐怖条件づけされ起こるものと、私が偽イップスと呼んでいる②伸張反射によるもの、もしくは③扁桃体で投球動作が恐怖条件づけされ起こるものと伸張反射によるものの組み合わさったもの。これらの3つで多くのイップス症状の原因の説明が出来ているのではないかと思っています。扁桃体での反応と伸張反射は健康な人が当たり前に起こる現象なので心配いりません。それは体に備わっている機能の一つが正常に働いているのに過ぎないのです。しかし投球動作の途中にそれが起こると投げることの妨げになってしまいます。当院ではイップスも偽イップスもどちらも対応できるような準備をしてあります。
3D投球理論
イップスの選手の投球動作を見ると、3D(縦・横・奥行)の動きなっているようには見えません。どういう事かと言うと投球動作で奥行と横の動きは出来ていても縦の動きが出来ていなかったり、横と縦の動きは出来ていても奥行の動きが出来ていなかったり、奥行きと縦の動きが出来ていても、横の動きが出来ていない選手がいたりします。投球動作を作る時に、ただ単に3D(縦・横・奥行)動きになれば良いというものでは、ありません。 投球動作は、一連の連続した動きの中で3D(縦・横・奥行)になっていなければ体を 十分に使い物理的な力を発生させて投げることは出来ません。投球で悩んでいる選手やイップスで悩んでいる選手の多くの頭の中は、投球動作を2D(縦・横)(奥行・横)(奥行・縦)で理解しているのと、2Dのイメージになっていると思います。2Dということは、平面的(2D)なイメージで立体的(3D)なイメージでは、ありません。
スポーツの動作において2Dと3Dでは、全く違う動きになり、結果も全く違うものになります。投球動作を正しく理解して、奥行の縦のスペース、横のスペース、奥行きのスペースをしっかり使い、正しいご自身の投球ホームを頭でイメージ出来れば3D(縦・横・奥行)の投げ方になると思います。3D(縦・横・奥行)の投げ方になっていれば、筋力ではなく、ご自身の骨格を使い物理的な力を発生させボールに力を使えることが出来ます。そのように出来れば無理なく上手くボールをコントロール出来ると思います。
当院では、投球ホームが3Dになるように分かりやすく指導しています。
イップスを治して来年度迎えましょう!
新〇〇〇〇ウ〇〇スの影響で部活動が休止になっている学校も多いと思います。普段と少し違う生活の流れでリズムも狂い大変な思いをされているのではないかと思っています。しかし、すべてマイナスに受け止めるのではなく、普段は部活動での練習に時間を費やし時間を作れない方がイップスの治療して治すチャンスです。予約混雑の為、ご希望の日時に予約をお取りすることが出来ないかもしれませんが、出来るかぎり対応させて頂こうと思っています。
当院では、6回のプログラムでイップスを治すという流れで行っています。ポジションごとにどういう状況でも、しっかり投げられる様にします。30年以上にわたるイップス研究で得た知識と技術でイップスを治して行きます。必ずイップスで辛い思いをされている方の力になれると確信しています。今の仲間と野球できる期間は限られています。後悔のないよう考えてみましょう。イップスに悩みながらプレーするよりも、治療してイップスを治して楽しく野球をしてみませんか?
イップス 体の構造と動きの連動
投球動作において力の発生は主に片足を上げて片足立ちになり地面反力を利用しながら体重移動することから始まります。体重移動して行き踏み込み足が着地をしたら、次は踏み込み足に地面反力が発生します。それらの力を下半身から体幹に伝えるのが股関節です。
そして下半身から体幹に伝わった力を体幹でさらに増幅させ腕に力を伝えます。体幹から腕に力を伝えるのが肩甲骨や鎖骨です。
そして腕に伝わった力が指先に伝わり、その力を最後ボールに伝えリリースするのです。
体の柔軟性は、もちろん無いよりあった方が良いですが、体が硬いからと言って上手く投げられないということはないと私は思っています。速い遅いは別として走れる くらいの下半身の動きと腕を上に挙げられるくらいの上半身の柔軟性があれば上手く投げることは可能だと思っています。重要なのは使い方です。股関節が上手く使えなければ地面反力を下半身から体幹に上手く伝えることが出来ません。また肩甲骨や鎖骨が上手く使えなければ体幹で増幅された力をロスなく腕に伝えることが出来ません。投球動作を連動させる要素として股関節、肩甲骨・鎖骨が重要になります。
体幹で力を増幅させるということですが、投球時に体幹が一塊で動くわけではなく、体幹部分にもたくさんの関節があります。背骨の特徴として側屈した時、肋骨の間が開いている側が前に行きやすく肋骨の間が閉じている側が後ろに行きやすくなっています。
肋骨の間が開くのと前に行くのがセットの動きで、肋骨の間が閉じるのと後ろに行くのがセットの動きということになります。投球時にもこの様な背骨や肋骨の動きが行われているのです。
トカゲなどが歩く時も腕や足だけで歩いている訳ではありません。背骨や肋骨を動かしながら腕や足と体幹を連動させて歩きます。だから早く進めるのです。
投球時にも背骨や肋骨を上手く使わなければ本当の連動した動きは完成されません。
ここからは背骨の治療的な話になりますが体全体の動きを連動させるには必要なことです。①の様な背骨の変位(ズレ・歪み)が起きたら①の様な背骨の動きは、しづらくなります。②の様な背骨の変位(ズレ・歪み)が起きたら②様な背骨の動きは、しづらくなります。背骨のどこかに変位(ズレ・歪み)があると体幹の機能が落ちてしまうということです。
投球時に背骨や肋骨は下半身から伝わった力を増幅させるという大切な役割があります。当院では、背骨の変位(ズレ・歪み)をチャックして背骨の変位(ズレ・歪み)があれば治療して、しっかり動ける状態にします。逆を言えば背骨に変位(ズレ・歪み)があれば元から動きづらい状態であるということです。体全体をチャックして治療が必要なところはしっかり治療する必要があります。
体の機能を正常に戻すことや体全体を連動させる使い方を身に着けて行けば、イップスになる前より遥かに上手く投げられるようになります。そうなると自然に自信が付き投げることが楽しくなってきます。
投球時の最大外旋位
イップスになると投球時に防衛本能が働き屈筋優位の状態になります。いわゆる体の開きが早いと、右腕がトップの位置に来る前に体幹の回転運動が起こり始めるので、トップの位置まで右腕を上げてくることが出来ずに結果的に、肘が下がった状態で投げることになります。
下半身・体幹が並進運動から回転運動に変わった初期の段階で右腕が最大外旋位(しなり)になります。
例えるなら弓道の弓を引いた状態です。投球動作の中で一番エネルギーが溜まる局面です。
投球時の最大外旋位(しなり)は、主に上腕骨→外旋、肩甲骨→内転・下制、胸椎→伸展で作られます。最大外旋位(しなり)は、意識して作るものではなく正しいトップの位置から体幹の回転運動が始まり、右腕が引っ張り出される時に自然に出来るものなのです。
意識的に最大外旋位(しなり)を作ろうとしたり、反動を付けて投げようとした場合、右腕に下半身や体幹とは逆方向の力が働き力のロスになり、腕を上手く振ることが出来ません。
また意識的に最大外旋位(しなり)を作ろうとしたり、反動を付けて投げようとした場合、右肩甲骨に内方への力が働きます。この場合も体幹とは逆方向の力になり力のロスが起こり、腕を上手く振ることが出来ません。
また意識的に胸を張ろうとしたり、反動を付けて投げようとした場合、胸椎に後方への力が働きます。この場合も並進運動や回転運動と逆の方向に力が働き力のロスになり、腕を上手く振ることが出来ません。
いくつか説明した悪い例の様な力の働き方になると、肘・肩・腰に余分な負荷がかかり故障の原因にもなります。
投球時に体を意識的に筋力で操作しようとすると本来リリースに向かって行くべき力が間違った方向に行ってしまうことが多くあります。
トップの位置では、右腕には体幹の並進運動の力が伝わり体幹と同じ方向に向かいます。そして体幹が並進運動から回転運動に切り替わります。右腕にも体幹の回転運動の力が伝わり始めます。この時に最大外旋位(しなり)が作られるのです。
テーブルクロス引きを例に挙げると、テーブルクロスを手で引くとテーブルクロスは動き始めます。しかしテーブルの上に乗っているグラスや皿はテーブルの上に止まろうとします。慣性の法則・・・止まっている物体は、そのまま止まり続けようとする。動いている物体は、そのまま動き続けようとする。
テーブルクロスが体幹でグラスや皿が右腕です。
トップの局面で体幹が並進運動から回転運動に切り替わり、その力が右腕に伝わった時、右腕はトップの位置に止まろうとします。
そして体幹の回転運動に右腕が振り出された時に自然に上腕骨→外旋、肩甲骨→内転・下制、胸椎→伸展の状態になり最大外旋位になるのです。
イップスの選手は、投球時に防衛本能が働き屈筋優位の状態になっています。目的はリリース時にボールに力を伝えることなのに筋力で動きを操作しようとすると体の各部位の力の方向が合わなくなります。力の方向が合わないと投球動作に減速が起こり筋力に依存する投げ方になってしまい、より屈筋優位状態を強めてしまいます。結果、投球ミスが起る。
大切なことは正しくトップの位置に持って行き、体幹の回転運動に右腕を上手く乗せることです。そうすると最大外旋位(しなり)が自然に作られ腕の振りは加速して上手くリリース出来ます。
私は正しい投球とは、筋力に依存するのではなく骨格を上手く使い物理的な力を発生させ、リリースの瞬間に発生させたエネルギーをボールに伝えることだと思います。
そのように出来れば上手く投げられ、脳の扁桃体に恐怖条件づけされた『投球』が徐々に消されて行きイップスは治ります。
記憶の削除と書き換え
*すくみ反応(怯える、防御態勢をとる)ダルビッシュさんの背骨コンディショニングの話
Yu Darvishさんの2019/11/03のYouTube
カイロプラクティックは、科学的な治療で多くの人の体の悩みを改善できる治療法だと思います。(しかし万能ではありません。はじめての方へを参照)
頭蓋骨の中に脳があって、背骨の中の脊柱管を脊髄神経が通り椎間孔を末梢神経が通り内臓や筋肉に神経を介して情報を送ったり、逆に内臓や筋肉から情報を受け取って脳に送ります。
背骨がズレたり歪んだりしても症状がなければ、大丈夫なのでしょうか?現代医学では多くの病気の原因が分かってきています。しかし病気や症状の本当の原因が分かっていないものも多くあります。
背骨がズレたり歪んだりすると神経の通り道が狭くなります。神経の通り道が狭くなると脳→器官(内臓・筋肉など)、器官(内臓・筋肉など)→脳の情報のやり取りが上手く行かなくなります。
カイロプラクティックでは背骨がズレると、脳→器官、器官→脳の情報のやり取りが上手く行かなくなることから病気が始まると考えます。背骨がズレ、神経の伝達が悪くなることだけに着目して治療します。言うなれば病名も症状も関係なく骨のズレを戻し神経の流れを良くすることに特化した治療法です。対処療法ではなく、人間の不調の原因を追究したものです。
ダルビッシュさんの話でも色々な症状が出ていて、いろんなことやってみたが良くならず背骨のコンディションを整えることを試したみたら少し最善の兆候がみられたので、そのことを続けたら体調が良くなったという内容でした。
背骨の状態を良くすることで多くの人を救うことが出来ると私は信じています。
背骨の歪みと病気
カイロプラクティックは、アメリカで生まれました。元々治療家であったD.D.パーマーが発見し、息子のB.J.パーマーによってさらに科学的に発展されました。
1895年9月18日、D.D.パーマーによって最初の脊柱のアジャストメント(矯正)を受けたハービー・リラード氏は、17年振りに聴力を取り戻します。このアジャストメント(矯正)がカイロプラクティックの歴史の始まりとなりました。
上の写真を見ると、左のメダカの背骨は曲がっていてなんだか苦しそうです。右のメダカの背骨は真っすぐで元気そうに見えます。元気に長生きするのは、右のメダカの様に感じてしまいます。
間違いなく言えるのが人間にもメダカにも背骨があって、頭蓋骨の中に脳があり、背骨の中の脊柱管を脊髄神経が通り椎間孔を末梢神経が通り各器官(内臓や筋肉など)に神経を介して情報を送ったり、受け取ったりしているということです。
しかし、多くの人が背骨がズレたり歪んだりしていても症状がなければ、さほど気にせず体のケアをしようとしません。本当にそれで大丈夫なのでしょうか?
背骨がズレたり歪んだりすると神経の通り道が狭くなります。神経の通り道が狭くなると脳→器官、器官→脳の情報のやり取りが上手く行かなくなります。
カイロプラクティックでは、脳→器官、器官→脳の情報のやり取りが上手く行かなくなることから病気が始まると考えます。右側のメダカの様に整った背骨を維持して、生涯健康で充実した生活を送りましょう!!
イップス検査法
*観覧注意・・・イップスのことを考えると辛くてとても落ち込んでしまうという方は、このブログは読まないで下さい。
今回はイップスの検査法について説明します。イップスの発症には、脳の大脳辺縁系にある扁桃体が深く関わっています。扁桃体は快や不快を感じるところで恐怖体験や危険な体験、恥ずかしい体験などが不快の中に含まれます。脳は楽しい体験より、恐怖体験や危険な体験ほど記憶に残すようになっています。それは動物でもそうですが生き残るために次に起こるであろう危険に備えて恐怖体験や危険な体験を記憶に残しているのです。次に同じようなことが起こった時、すぐに対処できるようにする為です。人間にもその機能があり、アスリートにとってミスはつらい事であり、恐怖でもあり、時には恥ずかしく感じることでもあります。そういったミスを扁桃体は恐怖体験として記憶することがあります。スポーツでのミスは、危険が迫っている訳でもないのに扁桃体は恐怖体験として記憶してしまいます。扁桃体は感じる部分であって意識的なコントロールは届かないのです。
投球ミスをして扁桃体が投げることを恐怖条件づけした場合、次に投げようとする時、視覚やボールを持っている手の皮膚感覚、球場の匂いなどの嗅覚の情報が大脳皮質に伝わり投げることが認識され、その情報が扁桃体に伝わり、扁桃体に伝わると投げることが恐怖条件づけされているので扁桃体は、すぐに反応して防衛本能が働きます。防衛本能が働くと脳内のドーパミンの量が減少します。ドーパミンの量が多い状態だと体は動きやすく、少ないと体は動きにくくなります。その他に視床下部では自律神経的変化が起き、下垂体ではホルモン分泌が起こり屈筋優位の状態になります。上の写真は、アルマジロが防御態勢をとっている写真です。伸筋が働くことなく屈筋が働いています。これは、危機的状況に備えて無意識のうちに防衛本能が働き防御態勢をとろうとしているのです。イップスとは、投球時に起こる防衛反応と言えるのです。
イップスになるには、何か発症した原因があります。ほとんどが悪送球などのプレー中のミスです。選手本人がイップスになった時の状況を鮮明に覚えていて、その時の感情まで詳しく説明できる場合が多いです。しかし、ごく一部の選手がイップスになっているにも関わらず原因が分からないというケースがあるのも確かです。それは扁桃体がどう感じるかが深くかかわっています。どういうことかと言うと練習中に雷が鳴り始め近くで落雷があったとします。その時、扁桃体は雷の音に驚き恐怖を感じて勝手に投球と雷で驚いたことを結び付け投球イップスになることもあります。投げることと雷は全く関係ないのに扁桃体にはその区別はつきません。その他に練習中に熱中症になった場合、練習に向かっている時に交通事故を目撃した。野球部の仲間とケンカした。こういうことも投げることとは関係ないのに扁桃体が勝手に同じものだと関連付けてイップスになるケースがあります。雷やタイヤのパンクした音などの大きな音に扁桃体は敏感です。野生動物が小さな足音などに反応してすぐ逃げるのと同じで人間にも本能的な部分はあります。イップスのようなことは、球技に限らずいろいろな状況で起こっていると考えられます。相撲の立ち合い、ラグビーのタックル、陸上競技、楽器の演奏や歌など。相撲の立ち合いは頭と頭をぶつけ合います。当然、扁桃体が立ち合いを恐怖条件づけすることも考えられます。ラグビーのタックルも同じです。人前で楽器の演奏や歌を歌う事も、ミスをすると扁桃体は危機的状況と捉え恐怖条件づけすることもあると思います。この場合、この曲のこの部分になると楽器が弾けなかったり歌えなくなったりという形で出て来るのではないかと思います。ただ球技はイップスが起きていることが見た目に分かりやすいから、騒がれているだけです。
実際にこの事が投球時に本当に起きているのか確かめるイップスの検査法を紹介します。
まず両手でも片手でも良いので出来るだけ真っすぐ腕を上げてみます。腕を上げるという動作は、多くの伸筋を使います。
次に片手で抵抗を加えながら肘を伸ばします。肘を伸ばす動作も伸筋を使います。
もう一つは、片手で抵抗を加えながら指を伸ばします。指を伸ばす動作も伸筋を使っています。次にご自身がイップスになった原因があれば思い出してください。思い出すのがつらい方は、この検査は今すぐ止めて下さい。原因がはっきり分からない方は、練習や試合の時にイップスで上手く投げられない状況を思い出してください。その状況を頭に思い浮かべながら腕を上げてみます。次に同じようにその状況を頭に思い浮かべながら抵抗を加えて肘を伸ばしてみます。指も同じように思い浮かべながら抵抗を加えて伸ばしてみます。最初と比べて、腕が上がりにくくなったり、肘や指が伸ばしにくくなった方がおられると思います。この検査で、はっきり出た方、少し出た方、動きには出なかったが少し気持ち悪い感覚が出た方、検査自体が上手く出来てない方、何も反応がなかった方、いろいろ結果が出たと思います。検査が上手く出来ているか分からない方は、誰かに協力してもらい腕の上がりを見てもらうのと肘を伸ばす時の抵抗する力を加えてもらってみて下さい。
これは五感の感覚情報からではなく、直接海馬を介して大脳皮質で思い出された状況が大脳皮質から扁桃体に伝わり、扁桃体では投げることが恐怖条件づけされているので防衛本能が働き脳内のドーパミン量の減少や視床下部では自律神経的変化が起き、下垂体ではホルモン分泌が起こり屈筋優位の状態になって伸筋に力が入りにくくなったと考えられます。腕が上がりにくくならなかったり、肘や指が伸ばしにくくならなかって方でも、なんか気持ち悪い感覚があった方は陽性かも知れません。
実際にボールを投げる時は、もっと強く屈筋優位が出ます。明らかに投げにくい体の状態で投げているのです。脳の異常や誤作動などではなく、扁桃体で投げることが恐怖条件づけされていて投げる時に防衛反応が正しく機能した結果、イップスが起こっているのです。イップスを治すには、扁桃体に投げることが恐怖条件づけされているので、それを消す必要があります。イップスはよく心の問題とかメンタルが原因とか言われますが、治すには脳でどの様な事が起きているかを知ることが大切です。起きていることを理解してイップスを改善するとか克服するとか曖昧な表現ではなく、イップスを治すという明確な目標に向かって進んで行くことが大切なことだと思います。
イップスと投げ方について(上野レポート)
今までにも説明してきましたが暴投などのミスをすると、脳の中の扁桃体が不安や恐怖を感じることがあります。扁桃体が不安や恐怖を感じるとトラウマとして脳に記憶を残すことがあります。そうなると扁桃体に投げることが恐怖条件づけ(イップス研究報告⑧)され、投球イップスになります。
扁桃体が投げることに反応すると無意識のうちに防衛本能が働き、自律神経的変化やホルモン分泌が起こり全身の屈筋が緊張します。屈筋優位(イップス研究報告⑦)の状態です。屈筋優位の状態でも正しく体を使えば普通に投げることが出来ます。しかし屈筋優位の状態で間違った体の使い方をしてしまうと、さらに屈筋は緊張して体は、一段とコントロール出来ない状態になります。正しいホームを作り上げるには、物理的に正しい方向に力を働かせることが重要です。その事について解説して行きます。
テイクバックの時に下半身や体幹は体重移動していて前方への力が働く。その時、ボールを投げる方の腕に後方や背中側への力が働くとお互いの力がぶつかり合い動きの邪魔をしてしまう。
腕に引っ掛かり感が出て腕を前で振ることが困難になるので、体を早く開いて腕を前に出そうとする。肘が下がってしまう。無理やり腕を振ろうとすると力が入り、より屈筋優位が強くなりボールを引っ掛け地面に叩きつけるような投球になってします。又は、腕が前に出てこないのでボールを押さえることが出来ずにボールの下を撫でる形になりボールが浮いてしまう。
踏み出した足の膝の向きが投げる方向を向かずインステップしてしまうと、体幹の回転運動が不十分になりやすく、これも腕の振れない原因になります。(股関節周りの強靭な筋力と柔軟性があれば別。)
トップの位置辺りで腕で反動をつけようとすると、下半身や体幹が体重移動から回転運動に移ろうとしているのにボールを投げる腕だけ力の方向が逆になってしまいます。慣性の力に逆らう形になり、腕の振りは減速してしまいます。(イップス研究報告⑫)
肘から出すという意識は、下半身や体幹の運動を腕が追い越して出てきてしまい、結果的に手投げになり引っ掛けやすくなります。
引っ掛けるのを意識的に防ごうとすると、ボールの下を撫でてしまいボールは浮いてしまいます。しなりは、腕で作るものではないのです。
正しい投球は、下半身の力が体幹に伝わり体幹の前方への動きと回転運動に腕が引っ張り出される形です。腕が引っ張り出されることによって結果的に、しなりが出来ます。
肘から先に出すことやリリースを意識すると腕単独の動きになりやすく、下半身や体幹との連動が絶たれてしまいます。腕を振る方向と体幹の回転方向が合いません。腕が体幹の回転方向に合わず縦に振るような形になると腕の振りは不安定なものになり、外旋力(外側に捻る)や内旋力(内側に捻る)が働きボールはシュート回転したりスライダー回転してしまいます。
正しい投球は、腕が下半身や体幹と連動していて、腕が体幹の回転運動によって振り出される形です。
トップの位置に来てから、下半身や体幹の動きに引っ張り出されるように腕が出て来る時、遠心力が働き体幹軸と上腕軸の角度は、90°ぐらいになります。この時、意識的に90°ぐらいのところに持って行くのではなく、遠心力を上手く使うことが出来れば自然とその位置に来るのです。(イップス研究報告⑨)
サイドスローでもアンダースローでも同じで、体幹軸に対して上腕軸は90°ぐらいです。
角度が大き過ぎても小さ過ぎても遠心力が上手く使えていないことになります。
回転運動の時に遠心力を使うのと同時に、テコの力も上手く使うとリリースしやすくなります。主なテコとして2種類あります。(イップス研究報告⑪)一つ目のテコは、正面から見てグラブを持っている腕が力点で胸辺りが支点になりボールを持っている手が作用点になります。
二つ目のテコは、横から見た時、股関節が支点で胸辺りが力点になりボールを持っている手が作用点になります。
リリース直前、体幹は回転運動をしているのにスナップで反動をつけようとして後方への力が働く時、やはりお互いの力が邪魔しあって慣性の力も奪われ腕の振りは減速してしまいます。(イップス研究報告⑫)
上手くリリースするには説明してきたように、体幹や下半身に赤矢印と腕の青矢印がリリースに向かってお互い協力的に働くことが大切です。赤矢印と青矢印が協力的に働いている時、慣性の力を上手く使えている状態です。それと遠心力やテコの力を上手く使うことも慣性の力を生かす為に重要です。慣性の力を上手く使えていたら腕の振りが加速して、リリースは上手く行きます。逆に慣性の力を上手く使えなければ、腕の振りは減速してしまい、リリースが難しくなります。
全身を使い慣性の力を生かし加速しながらリリースすることが出来たら、ボールにロスなく力が伝わります。全身で作ったエネルギーをリリース時にボールに伝えるのが指先です。上手く投げられるかどうかは、全身で作ったエネルギーをボールに上手く伝えられるかどうかで決まります。エネルギーをボールに上手く伝えることが出来れば、スピンのかかった切れがあり勢いのある理想的な投球が出来るでしょう。
イップスになると屈筋優位の状態で体をコントロールしにくくなります。そしてイップスの選手は投球時に、両足・両腕・体幹の力の方向がバラバラになっていることが多くあります。イップスの選手の投球は、両足・両腕・体幹の力の方向が合っていないので、腕の振りがリリースまでに必ず減速してしまいます。リリースまでは、必ず加速し続ける。リリースまでに減速してしまうとリリースは上手く行きません。
近距離や遅い球を投げる場合であっても、遅い速度や弱い力の腕の振りの中で加速しながらリリースしなけらば、上手く投げられません。(イップス研究報告⑫)イップスの選手で近距離が苦手な方が多く、近距離だと投球動作にブレーキをかける形になり、極端な減速が起こる為、リリースしずらいのです。逆に遠投などの長い距離だと、腕の振りに減速が起こりにくく比較的投げやすいのです。
イップスは、根性では治りません。投球ホームのバランスが崩れているのに、頑張って練習すると脳は間違った投球ホームを記憶して行きます。(イップス研究報告⑮)
当院のイップス治療は、心技体の3つにアプローチしていきます。投球技術については、関節の構造を考えた上で物理的に正しい投げ方になるように修正していきます。イップスで屈筋優位の状態であっても、物理の力を使えば普通に投げられます。正しく投げることを何度か繰り返していけば、扁桃体は投げることを恐怖条件づけから外してくれます。(イップス研究報告⑭)この事をイップスが治ったと言うのです。
イップスの状態で、心の底から野球を楽しむということは難しいことです。思い通りに投げられるようになると自然と野球を楽しめます。
イップスとリリースについて
正しいリリースは、ボールが指にしっかり掛かり押し込む形でリリース出来ている。ボールにしっかり力が伝わり、スピンのよくかかった球になる。
投げることに扁桃体が反応して防衛本能が働くと、すくみ反応(イップス研究報告⑧)が起きて屈筋優位の状態になります。イップス発動①の様にボールを指に引っ掛けてしまい、地面に叩きつけるような投球になってしまいます。
イップス発動①と同じで屈筋優位の状態になり、ボールを引っ掛けることを感覚的に嫌い、手の力を意識して抜いた時、イップス発動②の様にボールの下を擦るような形になりボールは高めに浮いてしまいます。又は、テイクバックで腕が引っ掛かり前で腕が振れずにボールを押さえることが出来なくて高めに浮く。
上手くリリースするには、リリースまでに体全体で作った力をロスなくボールに伝えることが重要です。
イップスを治すには、メンタル的なことも大切ですが、正しく自分の体を使いこなすことも重要です。
正しく体を使いボールを投げることが出来れば、扁桃体は投げることに対して恐怖や不安を徐々に感じなくなり、最終的に恐怖条件づけ(イップス研究報告⑧)を消してくれます。そうなるともうイップスは起こりません。イップスが完治したと言えます。
正しい投球とは、関節の構造や物理的な力の働きを理解して、体全体を使って最大限の力を作りロスなくボールに力を伝えられることです。
投げることを頭で理解できれば、投げることをイメージ出来るようになります。正しく投げている自分の姿を明確にイメージ出来れば体は、その通り動いてくれます。先にも言いましたが、上手く投げることが出来れば扁桃体が投げることに対して恐怖条件づけを消してくれるので、イップスは治ります。
イップスを治して自信を持って指導しましょう!
実際、野球の監督・コーチをされている方の中にもイップスで悩んでいる方がおられると思います。教える立場なので誰かに相談することも出来ず、出来るだけ人前でボールを投げないようにやり過ごしているのではないでしょうか?
どんな監督・コーチでも、ご自身がイップスで投球することが出来なければ、どうにかイップスを治して自信を持って選手と向き合いたいと考えると思います。監督・コーチの立場でイップスであることやイップスの治療を受けることは恥ずかしい事などではありません。今までもブログやYou Tubeで説明してきましたが脳の中に扁桃体という部分があり、扁桃体が投げることに対して不快や恐怖を感じた場合にイップスを発症することがあります。扁桃体は感じる部分で意識的なコントロールは届きません。誰でもイップスになる可能性はあるのです。
ご自身がイップスと向き合い治して行くことで、より深く野球を理解でき楽しんで今まで以上に良い指導が出来るようになります。イップスを治すことは、とても重要で意味のあることだと思います。
イップスと性格
今までにも説明してきましたが人間にも本能があります。危険な体験、怖い体験、スポーツでのミス、これらが脳で危機的状況として処理され、経験した嫌な記憶をトラウマとして残します。人間を含め動物は再び同じような危機的状況になった時、自分の身を守る為に防衛本能が働きます。これは動物が危険から身を守り生き抜く為の大切な機能です。イップスが脳の誤作動と表現されることがありますが、私は、イップスが脳の誤作動と表現されることにすごく違和感を持っています。イップスは、脳から投げるという意識的な命令と無意識的に防衛本能が働き防御態勢をとれという命令が同時に出ていまい思い通りに投げられないのです。誤作動ではなく、むしろ防衛本能が正常に働いた結果起きているのです。イップスの選手の脳の状態は極めて正常ということになります。しかしスポーツをする時に脳から意識的な運動の命令と無意識的な防御態勢をとれという命令が同時に出てしまうイップスの状態は最大の敵になります。
脳は3層構造になっています。表層は人間脳と言われ大脳皮質で考える部分です。その奥は哺乳類脳と言われ大脳辺縁系で感じる部分です。その一部が扁桃体です。そのさらに奥が爬虫類脳と言われ脳幹で生命維持に重要な部分です。大脳辺縁系や脳幹には意識的なコントロールは届きません。ボールを投げることは、命の危機が迫っている訳ではないのに扁桃体が投球ミスを恐怖だと感じれば危機的状況になります。扁桃体は感じる部分なので生命の危機が迫っている状況と投球ミスの区別はつかないのです。扁桃体が恐怖を感じれば同じ結果になってしまいます。
扁桃体は大脳皮質から送られた5感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の情報を元に喜怒哀楽を判断し処理します。喜怒哀楽の中で嫌な記憶ほど残ると言われます。それは生き抜く為に防衛本能を働かせる必要があるからです。嫌な記憶を脳はトラウマとして残し次に同じような危機的状況に出くわした場合、即座に防衛本能が働くように恐怖条件づけして備えているのです。恐怖条件づけされた出来事と同じ事やそれを連想させることが起きた場合、扁桃体は即座に反応し防衛本能を働かせます。
ブリーフシステムは日本語に訳すと『ブリーフ』は『信念』で、『システム』は『体系』です。「信念体系」のことです。
ブリーフシステムとは、生まれた時からの経験や、親や先生、友人、メディアからの情報などによって摺り込まれた認識の集合体です。
個人個人が強く信じて疑わない拘りは、すべてその人の信念なのです。信念は、その人が物事を判断する際の基準となります。「信念」といっても、それらは自分の自由意思で獲得したものではなく、過去の感情を伴った記憶や、過去に自分が受け入れた外部の言葉によって作られます。
作られたブリーフシステムは、人間の脳の中で最も進化した、知性を司る部位である大脳皮質の「前頭前野」にパターン化されて蓄積され、人はそのブリーフシステムによって、無意識のうちに未来のことを予期・予想して、ものごとを選択したり行動したりするのです。
世の中で「性格」だと思われているもの、すなわち、その人の思考や行動の傾向を決定するのは、成長の過程で後天的に作られたブリーフシステムであり、当然のことながら遺伝的なものではありません。
イップスの選手が性格のことをどうこう言われるのは、すごく嫌なことだと思います。それは性格が過去の感情を伴った記憶や、過去に自分が受け入れた外部の言葉によって長年の間に出来上がったものであって、すぐに変えられるものではないし、他人に否定されたくない部分だからです。
イップスでいうと信念や拘りがイップスに導いたり、イップスを悪化させる原因の一つになります。どういうことかというとミスしてはいけない、悪送球をしてはいけないという固定観念は、ミスや悪送球に対して扁桃体の反応を過敏にします。扁桃体に大脳皮質の意識的なコントロールは届きませんが、大脳皮質と扁桃体では情報のやり取りが行われているので、ミスや悪送球をしてはいけない事だと強く思っていると、ミスや悪送球に対して扁桃体が過敏に反応し不快や恐怖を感じやすくなります。
小さなミスから大きなミスまでいろいろあると思いますが、プロの一流選手でも必ずミスをします。バッターで言うとプロの一流の選手でヒットの割合が良くて4割です。6割は、上手くボールを捕らえることが出来ずにミスしていることになります。どんなにまじめに練習しても人間は必ずミスしてしまうものです。送球ミスは絶対にしてはいけないという固定観念は捨てた方が良いと思います。そういう信念はイップスになりやすくしてしまいますし、イップスを治りづらくさせます。
誰もミスや悪送球をしようと思ってしている人は一人もいません。毎日真面目に練習しても必ずミスや悪送球は起きてしまいます。性格は変えなくても良いので、まずはミスや悪送球をしてはいけないという固定観念だけ変えてみましょう!
当院では、心技体の3つすべてを治療していきます。イップスは心の問題だとよく言われますが、心のケアだけでは、投球のパフォーマンスが戻らないと私は思っています。イップスの心のケアというのは投げることに対して扁桃体のスイッチがONの状態からOFFにすることで、それだけでは投球のパフォーマンスが良くならないことが多くあると思っています。
イップスになると体が思うように動かず間違った動作を繰り返します。心の問題が解消されても間違った動作の記憶は脳に残ったままです。イップスの期間が長くなればなるほど間違った動作の記憶は脳に色濃く残ります。イップスになる前に技術的には出来ていたとしても、投球動作を理解出来ていたのか?イップスになって2カ月以上ご自身でいろいろやってみて治っていないなら、投球動作の理解ということは出来ていなかったのだと思います。本当にイップスを治すなら投球動作を理解して、正しい投球動作を身に着ける必要があります。扁桃体の投げる動作に対する恐怖条件づけ・すくみ反応を心のケアと投球動作の改善・理解で消し去ります。上手く投げることが出来れば扁桃体は投げることに対しての恐怖条件づけを消してくれます。体に関しては、良いパフォーマンスが出来るコンディションにするとことも、とても重要です。このように考えてイップス治療を行っています。
イップスの治し方
ある研究機関の実験を引用させて頂きます。恐怖条件づけ・すくみ(恐怖)反応の実験です。(詳しくはイップス研究報告⑧参照)マウスに対してブザー音の後に電気ショックを行う。これを何度か繰り返すとマウスはブザー音が聞こえたら、すくみ(恐怖)反応を示すようになる。恐怖条件づけ・すくみ(恐怖)反応の強さは繰り返すたびに増加する。これは、ブザー音の後に電気ショックが来るということを予測し身構え防御態勢をとっているということです。恐怖体験は場合によってはトラウマになり次に同じような状況になった時、即座に扁桃体が反応し防衛本能が働きます。イップスの場合も投げる行為が恐怖条件づけされていて投げようとすると扁桃体が恐怖を感じ即座に防御態勢を取ろうと反応しているのです。(屈筋優位・緊張)
問題は投げる行為が条件づけされていて防衛本能が働いているのをどうやって解除するかというとことです。
① まず記憶想起とは一度覚えた記憶を思い出すプロセスのことです。一度覚えて脳内で安定化された記憶を想起すると一度記憶が不安定になります。あえて不安定状態を作る。
② 恐怖を感じている事柄に関して身の危険を感じない状況が続けば、「消去」の反応が起こり、恐怖は減退する。恐い記憶を思い出すと、初めの内は恐怖を感じるが、怖がる必要がないことを徐々に学習・記憶する。過去の恐怖体験を書き換え脳に保存する。恐ろしい出来事を伴わない経験の回数が増えれば増えるほど扁桃体の感度は鈍くなる。
投球イップスを例にするならトラウマになっている出来事を思い出す。記憶を想起してトラウマになっている記憶を不安定にする。そして投球動作とはどういった動きなのか再度理解していく。屈筋優位の状態でも体が上手く動く投げ方があるので、それを学習する。本来この投球動作が無駄のない正しい投球動作になります。動作を理解出来れば投げるという行為が簡単に思えてくる。そうすると投げる行為が難しい・怖いから簡単・楽しいに変わる。このことを書き換え脳に再保存する。そうすると恐怖条件づけ・すくみ(恐怖)反応が起きなくなり、イップスは治ります。前回にも説明しましたが扁桃体は無意識の領域です。意識的に簡単・楽しいと思っても、それは扁桃体には届きません。意識的なコントロールは届かないのです。扁桃体が簡単・楽しいと感じるように治療します。
個人的には練習で得た感覚というのは、あまり当てにならないと思っています。それは長年野球をやってきたプロの選手でも何かをキッカケにイップスのなって投げ方が分からなくなるからです。動作を理解して、その上で感覚を磨いて行くことが大切です。感覚だけ磨けば良いというものではないと思っています。理解したうえで感覚を磨いて行けば、何かをキッカケにイップスになりかけたとしても自分ですぐに良い状態に戻せます。その事がイップス人口を少なくして行く方法だと思います。
当院では長年カイロプラクティックを学び関節の構造を理解した上で投球動作を分析しています。カイロプラクティックをしっかり学んだ人間ならではの投球指導行っています。
イップス発症の仕組み
危険な体験、怖い体験、怪我をして痛かった、病気で苦しんだことなどは忘れようと思っても忘れなれずに、キッカケがあれば繰り返し思い出す(フラッシュバック)嫌な記憶です。このような記憶をトラウマと言います。スポーツの時のミスもトラウマになることがあります。トラウマは大なり小なり誰もが抱えているものです。
なぜ人間はトラウマとして脳の中に記憶を残すのでしょうか。人間にも本能の部分はあります。危険な体験、怖い体験、怪我をして痛かった、病気で苦しんだこと、そしてスポーツでのミス、これらが脳で恐怖体験として処理され記憶されてしまうことがあります。人間を含め動物は再び同じような危機的状況になった時、自分の身を守る為に防衛本能が働きます。時に防衛本能が過剰防衛となった場合、苦しみにつながることがあります。
脳の構造として表層は大脳皮質で意識的に考える脳です。脳の奥深くには大脳辺縁系と言われる部分があり本能の部分であり意識が届かなく無意識に働く領域になります。大脳辺縁系の中に扁桃体と海馬があります。
扁桃体は大脳皮質から送られた5感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の情報を元に喜怒哀楽を判断し処理します。喜怒哀楽の中で嫌な記憶ほど残ると言われます。それは生き抜く為に防衛本能を働かせる必要があるからです。扁桃体が損傷すると、恐怖、不安、不快を感じることが出来なくなり、防衛本能が働かなくなって危機回避能力に問題が生じます。
海馬は新しい記憶が長期記憶として安定するまでの間,短期記憶の貯蔵庫として働きます。「新しい記憶」は海馬に、「古い記憶」は大脳皮質にファイルされているのです。
例えば高いところに今立っていると想像して下さい。高いところに立っているという情報が目から大脳皮質の視覚野に伝達されます。次に視覚野から、大脳辺縁系の扁桃体に高いところに立っているという情報が伝達されます。扁桃体で「高い」という情報が危険か、どうかという判断されます。危険と判断された場合には、本能的に恐怖を感じ防衛本能が働きます。これは、生命が生き残っていくために非常に大切な機能です。
恐怖や不安などを扁桃体が感じたら、信号が間脳の視床下部と言うところに送られ自律神経系にスイッチが入ります。もう一つは視床下部から間脳の脳下垂体と言うところに信号が送られ内分泌系(ホルモンを出す働き)を刺激します。そして全身に影響が出て足が震える、足がすくむ、動けなくなる、動きが硬くなるなどが起きるのです。緊張状態が出来上がります。これは扁桃体が高いところは危険と判断し体が防御態勢をとっているのです。屈筋優位の状態です。(イップス研究報告⑦参照)
野球でボールを投げるということに扁桃体が強い不安や恐怖を感じた場合、やはり防衛本能が働きストレスホルモンが分泌されたり、自律神経反応が起こり無意識に体は防御態勢をとろうとする。
「楽しい」「心地よい」と感じているとき、頭の中ではドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。ドーパミンは、わかりやすく言うと「幸福ホルモン」「快楽ホルモン」とも呼ばれる物質です。逆に、不安や不満、恐怖といったストレスの多い状態や否定的な感情の強い状態が続くと、ドーパミンが分泌されにくくなります。
扁桃体が恐怖やストレス感じた場合「ドーパミン産生が抑制」されてしまいます。
扁桃体での負の感情→ドーパミン量の減少
ドーパミンが多い→運動を促進させる(アクセル)
ドーパミンが少ない→運動を抑制させる(ブレーキ)
このようなことがイップスの選手の体に起きていると考えられます。
投球と慣性の力
イップスの選手は、共通して投球時に慣性の力を上手く使えていません。メンタル面が改善されても、慣性の力を上手く使えなければ思うような投球は出来ません。慣性の法則とは、止まっている物体に力を加えなければ、そのまま止まり続け、動いている物体に力を加えなければ、そのまま動き続けるという法則です。
図1を見ると①の方向に自動車が直進しています。慣性の力は、①の方向に働きます。②の方向に曲がる時、ハンドルを右に回し慣性の力に逆らって②の方向へ進んで行きます。
図2と図3はジェットコースターが走るコースを表したものです。図2と図3は、コースの形は違いますが1周の距離は同じものとします。(高低差は無し・途中の加速なし)赤のラインがスタートでスタートした時、図2と図3のジェットコースターともに時速100kmとします。1周して赤のラインに戻ってくる時どうなっているでしょう?
図2は比較的なだらかなカーブでコースが作られているので1周回ると減速はするもののある程度、慣性の力が保たれた状態になります。
図3は急なカーブが多くあり慣性の力が著しく失われて極端な減速が起こります。図3は極端な減速が起こる為、図2と比べて1周回るタイムが遅くなってしまいます。
投球の時の腕の軌道は、慣性の力を利用して加速させながらリリースの瞬間に最大のエネルギーをボールに伝えることが重要です。逆に慣性の力を上手く利用できず腕の振りが減速してしまう投球は、リリースの瞬間にエネルギーを上手くボールに伝えることが出来ず、手離れが悪かったり、リリースポイントが分からなくなったり、リリースまでに減速しているので最後スナップで補おうとして手に力が入ったりします。
次に 慣性の力に逆らった投球の例を挙げていきます。①テイクバックの時に体重移動が始まっているのにボールを投げる方の腕に背中側への力が働く。正面から見てボールを投げる方の腕が背中側に見えてはいけないと言っているのではありません。体重移動が始まっているのにボールを投げる方の腕に背中側への力が働くとお互いに邪魔しあっていることになり慣性の力も奪われ腕の振りは減速してしまいます。
② テイクバックの時に前方に体重移動が始まっているのにボールを投げる方の腕に後方への力が働く。ボールを投げる方の腕を後方に持って行くことが悪いのではなく、体重移動が始まっているのにボールを投げる方の腕に後方への力が働くことが良くないのです。お互いの力が邪魔しあって慣性の力も奪われ腕の振りは減速してしまいます。
③ボールを投げる手がトップの位置で、下半身と体幹は体重移動から回転運動に移ろうとしている状態です。この時、ボールを投げる方の腕で反動をつけようとして後方に引くと下半身や体幹とボールを投げる方の腕の力の方向が逆になり慣性の力も奪われ腕の振りは減速してしまいます。
④コッキング期の後半(リリースの直前)下半身と体幹は回転運動をしているのにスナップで反動をつけようとして後方への力が働く時、やはりお互いの力が邪魔しあって慣性の力も奪われ腕の振りは減速してしまいます。
⑤肘から先に出すことを意識した場合、下半身や体幹の動きを追い越して腕が出て来てしまいます。この場合も慣性の力を奪い減速します。下半身や体幹に引っ張られながらボールを投げる方の腕が出て来る時、手より肘が先行して出て来るので肘から出しているように見えるのです。肘から先に出すという意識は間違いが起こりやすいと思います。
⑥肘から先に出すことやリリースを意識すると腕単独の動きになりやすく、下半身や体幹との連動が絶たれてしまいます。腕を振る方向と体幹の回転方向が合いません。この場合も慣性の力が奪われ減速してしまいます。
①~⑥は慣性の法則の動いている物体に力を加えなければ、そのまま動き続けるという性質の妨げになっています。投球の開始からリリースまで慣性の力を利用しながら行うことが大切です。慣性の力に逆らう投球は腕の振りが減速してしまい筋力に依存する投げ方になります。筋力に依存する投げ方は屈筋優位(イップス研究報告⑦)を招きイップスが起こります。力の方向が合っていないと腕に引っ掛かり感が出たり、動きが止まったりします。リリースの瞬間までに加速し最大のエネルギーをボールに伝えられるのが正しい投球です。関節の動きに沿ってしかも慣性の力を利用した体の使い方を習得する必要があります。
イップスの話でよく意識と無意識のことが言われます。先ほどの例に当て嵌めるとテイクバックを意識すると①や②の状態になりやすい。トップの位置を意識すると③や④の状態になりやすい。肘を出すことやリリースを意識すると⑤や⑥の状態になりやすいと思います。なぜ意識するとイップスが起こりやすく、無意識だと起こりにくいのかというと意識した投球は慣性の力を邪魔する動きが入りやすい。無意識での投球は慣性の力を邪魔する動きが少なくなる。投球ホームの改造でイップスになるのも技術面だけで説明すると、この事が原因です。監督やコーチは選手のことを思って指導してくれているのに選手が指導されたことを意識して投球すると慣性の力に逆らった投げ方になってしまいイップスになって行くこともあります。意識することで慣性の力が奪われ、流れるような連続した動きが出来なくなるのです。
自信の持てない選手が、無意識に投げるというのはとても不安なことです。また技術の向上やミスをしない為には意識して投げる必要もあると思います。反復練習して無意識に出来るようになるのが一番ですが、そう簡単にはいきません。
私は意識して投げることが悪いとは思いません。意識した投球で慣性の力が奪われる場合、意識するところや意識の仕方が間違っている可能性があります。
当院では運動指導する時、●や●のところのような末端部分を意識するのではなく●の部分を意識することで、その動きに全体がついてくるように指導します。そうすることで慣性の力を生かしたスムーズで流れるような正しい投球が出来るようになります。
投球とテコの原理
体を動かす時、3パターンのテコが存在します。第一のテコは、支点が真ん中で端が力点と作用点になります。第二のテコは、端に支点で真ん中が作用点で逆端が力点になります。第三のテコは、端に支点で真ん中が力点で逆端が作用点になります。
イップスが発動された時、選手の体は屈筋優位の状態に陥ります。筋力に依存する投げ方は、より屈筋優位を強めてしまいます。逆に物理的な力を利用した投球は屈筋優位を弱めてくれます。今回説明していくテコの原理は筋肉が骨から骨へ関節をまたいで付着している以上、体を動かす時に必ず使っています。体を動かす時に無意識の内にテコを必ず使っているものの正しく使えているか、より効果的な使い方が出来ているかということが重要になってきます。
例えば5tの重さの象がシーソーに乗っていたとします。象の乗っている位置は支点から5cmのところとします。50kgの人が5tの象をテコを使って持ち上げることが出来るでしょうか?
5000(kg)×0.05(m)=50(kg)×□ 5000(kg)×0.05(m)/50(kg)=5(m) 計算上の話ですが、支点から5mのところに50kgの人が乗ると5tの象と釣り合って5mを超えると象を持ち上げる事も可能ということになります。それほどテコの力は強力だということです。
人体の中にテコとして働く部位は無数に存在します。その中でも投球時に使う重要な大きなテコについて説明します。
まず1つ目のテコは投球時に正面から見た場合、グラブを持っている方の腕が力点で胸が支点になりボールを持った手が作用点です(第一のテコ)。本来、支点から力点や作用点の距離が遠ければ遠いほどテコの力は強くなりますが、投球の場合は回転運動をしながらテコを使うことを考えればグラブをはめている腕をコンパクトに使い、体幹軸の回転速度を上げる必要があります。フィギアスケートでも腕を伸ばし広げた時の回転速度は遅く、腕を曲げて体幹に近づけた時の回転速度は速くなります。逆に作用点は支点から出来るだけ離れた位置に持って行きテコの力を最大限使います。意識して支点から作用点の距離を離すのではなく、遠心力が上手く使えていれば勝手に離れます。体幹の回転にボールを持っている方の腕が振られれば、遠心力が働きリリースの手前ぐらいで支点から作用点までの距離は最大になります。作用点と力点の力の方向は支点を中心に真逆の方向になります(上の第一のテコの図を参照)。正面から見た時、このようなテコの使い方が出来れば物理的に正しい投球に近づきます。
次に2つ目のテコは、横方向から見た時に踏み出した足の股関節が支点になり胸が力点でボールを持った手が作用点になります(第三のテコ)。股関節が支点になり胸辺りを力点とした前方への力が生まれ、その力に腕が引っ張り出されるように振られ手が作用点となります。
股関節を支点として力点である胸辺りの前方への力に腕が引っ張られながら出て来る時、体幹・腕はしなります。体幹や腕がしなれば弓矢のように張力もテコの力にプラスして使え、より強い力をボールに伝えることが出来ます。
投球時の技術面の話になりましたが、投球時にこれらのテコを上手く使うことでイップスの時に起こっている屈筋優位や硬直を軽減しスムーズに投球することが出来ます。リリースの瞬間、テコや遠心力が上手く使えていればボールに上手く力が伝わり自然とボールが手から離れて行きます。リリースの瞬間に迷うのはこれらの物理的な力が上手く使えていない可能性が高いと思われます。
正しい投球動作は体重移動し踏み出した足が着地した時には、ボールを投げる手がトップの位置に来ていて、踏み出し足の着地と同時ぐらいに軸の回転運動が起こり、その軸の回転に腕が引っ張られるように振られてボールを投げるという一連の動作になります。
正しく連動した投球動作は、車の運転に例えるならアクセルを踏んだ状態です。ロスなく体重移動や回転運動の力を生かして腕が振られるという動作です。速い球・遅い球・遠くに投げる・近くに投げるなどを調節するのは、アクセルを強く踏むか弱く踏むかです。投げる動作の途中にブレーキを踏むという行為は必要ないですし、踏んではいけないということです。あくまでもアクセルだけでコントロールすることが大切です。
イップスの場合、投球動作の途中でブレーキをかけてしまっていて一連の連動した動作が出来ないのです。なぜブレーキがかかるかというと心の問題(防衛反応が働く、躊躇い加減するなどの感情が働く)もありますが、技術的なことで言うとそれぞれの関節が動きたい方向と動きたくない方向があるとしたら、関節のどこかが動きたくない方向に動かされている。または関節が動きたいタイミングと動きたくないタイミングがあるとしたら動きたくないタイミングで動かされている。
人体の関節の構造の説明です。胸郭と肩甲骨の間にできる関節が肩甲胸郭関節・胸骨と鎖骨の間にできる関節が胸鎖関節・肩甲骨と鎖骨の間にできる関節が肩鎖関節・肩甲骨と上腕骨の間にできる関節が肩関節・上腕骨と尺骨の間にできる関節が腕尺関節・上腕骨と橈骨の間にできる関節が腕橈関節・橈骨と手根の間にできる関節が橈骨手根関節・手の関節として手根間関節、手根中手関節、中手指節関節、指節関節などがあります。肩から先だけでこれだけの関節があって、それぞれに関節の特徴があり動きが様々です。これらの関節を意識的に連動させて動かすのは至難の業です。
当院では、関節の構造を踏まえた上で重力・作用反作用の力・慣性の力・遠心力・テコの原理などを最大限利用して投球動作を作ります。その選手にとっての正しい投球ホームはいくつもある訳ではありません。正しい投球ホームは一つだけです。関節の構造を踏まえた上で物理的な力を利用すれば一つの投球ホームに辿り着きます。良いホームとは、筋力を出来るだけ使わず物理的に生まれたエネルギーをボールに伝えるといった形になります。その投球ホームこそが筋肉や関節に無理のない正しい形です。大切なことはリリースの瞬間にしっかりとボールに力を伝えることです。力一杯投げなくても物理的な力を使いこなせれば速い球を投げれますし、自然とコントロールも良くなります。無理なホームの修正をするのではなく、ドリルをこなして行きながら自然と物理的に正しい関節の使い方が習得できるようにして行きます。
当院のYou Tube動画について
①当院の単なる宣伝を目的とした内容にならないようにする。
②見た人が不安になるような内容ではなく、少しでも安心して頂けるような内容になるように努力する。
③You Tube上でのコメントは受付けません。(どなたか分からない方に向けて真剣なコメントを返せない為。)
④医学・科学・物理学を踏まえた上で偏った考えにならないように気を付ける。
⑤難しい内容のことを分かりやすく説明するように努力する。
⑥イップスはメンタル的な部分も関わるので、どういう人間が治療するのか知って頂く。
親子キャッチボール
学生時代野球部で頑張っていて、その頃にイップスになってしまい何年も経った今も引きずっている方は多いと思います。お子さんとキャッチボールしたいという気持ちは、あるものの投げることに対しての恐怖感や自信が持てなく避けてしまう。お子さんからしてみればキャッチボールしたいとお願いしても、何だかんだ言い訳されて断られるとこは悲しいことだと思います。
お子さんとキャッチボールが出来る時期は限られています。親子でキャッチボールをしたということは二人にとって大切な思い出になります。イップスを克服することは自分自身のことを深く知ることに繋がります。克服出来たということは自信に繋がり生活の他の面にも良い影響が出て来るものです。
私は親子でキャッチボールをすることは大切なコミニュケーションの一つで、大切な思い出の一つになることだと思っています。大切な人生の1ページです。お子さんと楽しんでキャッチボール出来るようにお手伝いさせて頂きます。
投球おける遠心力
今回、技術的な話をしたいと思います。体幹の回転運動で腕が振り出されて遠心力を使って投げるということについて考えていきます。
紐に重りを付けた振子は、軸に回転する動きがなければ遠心力が働かず真下で停止しています。
軸を回転させると振子に遠心力が働き、軸から離れながら軸の回転方向に進んで行きます。黄色の矢印の方向に遠心力は働きます。
さらに軸の回転速度を上げて行くと振子に強い遠心力が働き、軸に対して直角のところに来ます。遠心力が最大でこの位置に来ます。遠心力は中心軸から離れようとする力なので、これ以上振子が上に上がることはありません。
実際に投球動作の時にどのように遠心力が働いているか説明していきます。サイドスローの場合、体幹軸は地面に対して直角ぐらいで、遠心力が上手く使えている状態の時、上腕軸は体幹軸に対して直角になります。黄色の矢印が遠心力の働く方向で体幹軸から離れようとする方向になります。緑線を見て頂くと手の位置が肘より外側にあります。トップの位置では、手が肘よりやや内側にありますが、(トップの位置で、すでに手が肘より外側に来ている選手がいますが、この投げ方は肘や肩の負担がかかるのでお勧めしません。)遠心力で加速がついた時には手の位置が肘より外側来ます。これは遠心力が働くと体幹軸から離れようとするから自然とそのようになるのです。
オーバースローの場合は、踏み出した足の方に体幹軸を傾けます。そのこと以外はサイドスローの場合と全く同じです。正しいオーバースローの投げ方は腕を上げているのではなく体幹軸自体が踏み出した足の方に傾くから結果的に腕が上がっているように見えるのです。あくまでも遠心力は体幹軸から腕が離れようとする力で体幹軸と上腕軸の関係は直角になります。(遠心力は黄色矢印の方向)
アンダースローの場合は、逆に踏み出した足とは反対の方に体幹軸を傾けます。そのこと以外はサイドスローと全く同じです。腕を下に下げて投げているのではなく、体幹軸を踏み出した足とは反対の方に傾けるから結果的に腕が下がって見えるのです。この時も遠心力は体幹軸から離れようとする方向です。(黄色矢印)
悪い投げ方を説明していきます。遠心力が上手く使えている場合、体幹軸に対して上腕軸は直角になります。肘の位置が上腕軸の青線より上がっても下がってもダメなのです。黄色線が上腕軸だとしたら体幹軸と直角の関係になっていないので遠心力は上手く使えていないことになります。次に緑線を見てみると手が肘より内側に来ています。これも遠心力を上手く使えていない証拠です。
イップスの選手は体幹軸と上腕軸の関係が乱れます。関係が乱れているから体幹回転時に肘か上がり過ぎたり下がり過ぎたりします。体幹軸の遠心力が使えず手は肘より内側を通ります。(屈筋優位も影響する。腕が縮こまる)サイドスローで考えてみると体幹軸が横方向の回転をしているのに手が肘より内側に来ているということは、腕自体は縦に振っていることになり体幹と腕の振りにはバラバラの力が働き体幹の体重移動や回転力はまったく腕には伝わっていないことになります。結果、手投げになるということです。
イップスの選手の体はホームをいじられること嫌がることが多々あります。当院では動きのドリルをこなしながら正しい関節の動きを身に着け、物理的に正しい投球ホームを自然に習得出来るようにしています。目指すべき技術として①トップの位置では手が肘より内側を通り、体幹軸の回転で遠心力の加わった時には手が肘より外側を通り、しっかり遠心力を腕に伝えられる。②体幹軸の遠心力が腕に伝わり自然に体幹軸と上腕軸が直角になる。③トップの位置の前後で腕に働く慣性の力(物体が進んでいる方向に進み続けようとする力)を有効に使い体幹軸の回転に腕を乗せる。イップスでなくても慣性の力を殺しながら投球している選手はたくさんいます。慣性の力を利用するにはコツがいりますが上手く身に着けられる方法を行います。習得出来れば格段に技術力は上がります。この事は、ほとんどの競技で共通することです。
イップスを治していくに当たって正しい技術を理解し身に着けることも大切なことの1つです。
防衛本能とイップス② *すくみ(恐怖)反応 ・身構える・防御態勢・恐怖に怯える
イップスは、いつ起きるのか?ある研究機関の実験を引用させて頂きます。恐怖条件づけ・すくみ(恐怖)反応の実験結果です。マウスに対してブザー音の後に電気ショックを行った。これを何度か繰り返すとマウスはブザー音が聞こえたら、すくみ(恐怖)反応を示すようになる。恐怖条件づけ・すくみ(恐怖)反応の強さは繰り返すたびに増加する。これは、ブザー音の後に電気ショックが来るということを予測し身構え防御態勢をとっていることの表れです。恐怖条件づけ・すくみ(恐怖)反応は魚類、マウス、人間といった多くの生物で認められる普遍的な現象のようです。
右バッターの時だけイップスが起こるピッチャー。バント処理などでファーストに送球する時だけイップスが起こるピッチャー。バント処理などでサードに送球する時だけイップスが起こるピッチャー。ピッチャーに返球する時だけイップスが起こるキャッチャー。サーブの時だけイップスが起こる卓球選手。パターの時だけイップスが起こるゴルファー。PKの時だけイップスの起こるサッカー選手。ボールは投げられるがダーツが投げられないダーツの選手。練習では起こらず試合の時だけイップスの起こる選手。怖い先輩相手の時だけイップスが起こる選手。監督・コーチに見られている時だけイップスが起こる選手。
その行為だけ恐怖条件づけされていて、すくみ(恐怖)反応が起こるのかも知れません。行為そのものがブザーの役割をしているのです。送球全般でイップスが起こる選手は、送球そのものが恐怖条件づけられています。素振りは出来るがボールを打とうとするとイップスが起こるゴルファーも同じです。
右バッターの時だけブザーが鳴りイップスのスイッチがNOになるピッチャー。バント処理などでファーストに送球する時だけブザーが鳴りイップスのスイッチがONになるピッチャー。サーブの時だけブザーが鳴りイップスのスイッチがNOになる卓球選手。また球場・体育館・競技場に行くだけでブザーが鳴りイップスのスイッチがONになる選手がいたり、家を出て球場・体育館・競技場に向かっている時に早々とブザーがなってしまう選手もいると思います。
一度の失敗では条件づけされなくても、次は失敗出来ないと強く思い再度失敗してしまう。気持ちは焦りパニックの状態でもう一度失敗してしまう。それは恐怖体験となり心にトラウマとして残ります。それと同時にその行為が条件づけされイップスを発動させるブザーが出来るのです。
ボールを投げる時、リリースの瞬間にイップスが起きているのではなく、少なくとも投げる行為自体がイップスで、その行為が始まった時点から起きていると考えられます。リリースの瞬間が気になるのはよく分かりますが、貯まった運動エネルギーを最終的にボールに伝える瞬間がリリースに過ぎません。リリースの瞬間だけを見るのか、全体像を見るのかでイップス改善のアプローチは、まったく違うものになってくると思います。
防衛本能とイップス①
動物には防衛本能がある。危機的状況が迫った時に命を守る手段として①闘争(攻撃行動)②逃走(危険対象から離れ命を守る)③防御(・背を向けて丸くなる・硬い背部を表にする・表面積を小さくする・柔らかい腹面には大切な内臓があるのでしっかり守る)。地球に最初の生命が誕生したのは約 38億年前のことです。進化の過程で生き残るために動物はいろいろな本能を獲得して来ました。その中の1つが防衛本能です。
もちろん防衛本能は人間にも備わっていて、例えば工事中のビルの近くを歩行中に、「危ない!」という声が聞こえたら咄嗟に頭を隠して体を丸くすると思います。人間の場合、学習して危険な時には大切な頭を守るということを意識的にやっている部分もあると思いますが、無意識的に防衛本能が働いて体を守る態勢になっている部分もあるのです。
スポーツにおける大事なプレーの時にミスしてはいけないと思う気持ちやミスをして落ち込む気持ちやミスによる羞恥心は、危機的状況として処理されてしまうことがあります。危機的状況での恐怖体験はトラウマになり心に残ります。体験したことが恐怖かどうかは意識的に決めるのではなく、無意識的に心が恐怖だと感じれば恐怖でありトラウマになってしまうことがあるのです。トラウマが心の中に残り同じ恐怖を予感させる状況になった時、危険を避け生き抜くための防衛本能が無意識に働きます。
正しい運動は骨盤が前傾気味で伸筋がやや緊張した状態で行われる。体重移動や回転運動がスムーズに出来る状態です。
逆に危機的状況を予感して防衛本能が働いた状態が心の面から見たイップスの状態で無意識に防御態勢をとろうとする。防御態勢とは、体を丸くし腕や足は曲げた状態です。イップスの起こっている時、体幹は屈筋優位の状態となり骨盤が後傾し背中はやや丸くなる。手・腕・足も屈筋優位で伸びにくくなる。
イップスで骨盤が後傾し背中がやや丸くなった状態では、まず体重移動と回転運動が上手く行かない。胸を張る動きも出来ないのでトップの位置に手を持って行けない。腕も屈筋優位の状態で投げる・打つの動作の時、腕が縮こまり、手の筋肉も屈筋優位でボールが指に引っ掛かり地面に叩きつけるような送球になる。ボールが指に引っ掛かることを避けたくて無理やり力を抜こうとするとボールの下を指で撫でる形になり高めに浮く。酷いと投げる動作の途中で落球する。イップスの選手でよくある話ですが感覚が無く自分の腕・手ではないように感じる。手に手袋をハメている様で感覚が鈍い。最終的に自分の身を守れず動物が捕食動物に捕食される時、防衛本能の最終手段として痛みを感じないように麻痺状態になると言われています。もしかしたらイップスの腕・手の感覚が鈍くなるのも関連性があるのかも知れません。
イップスは動物が本来、命を守り生き抜くための防衛本能が正しく働いた状態で異常なことではないと思っています。健康な状態の選手に当たり前に起こり得ることなのです。
イップスの起きやすい力加減と距離
下の奇妙な絵は、ホムンクルスの脳の領域と言って脳の領域の割合を示したものです。絵を見ると手がとても大きくなっているのが分かります。手がより敏感で繊細な動きが出来る事を示しています。サッカーなど足をよく使う競技の選手の場合、鍛錬のよって足の領域が大きくなるので足の動きに関してもイップスは起こります。失敗などがトラウマになり不安な気持ちになった時、感覚が敏感で繊細な動きの出来る手に頼りたくなります。でも手に頼ろうとすると過剰に手先に意識が行き手先主導の投げる・打つという動作になってしまいます。本来、足→体幹→腕→手の順番で力が伝わるのに手先始動になると動くタイミングがバラバラになり、それを察知した脳は異常に気づき動きを停止するか筋肉が硬くなります。それが運動面から見たイップスのメカニズムと言ってもよいのかも知れません。期間が長くなれば手先主導の間違った動きを脳は記憶してしまいます。
イップスは微妙な距離や微妙な力加減で起きやすいと言われます。当院のアンケートでも中間距離で30~70%の力加減の時にイップスは出やすいという結果になっています。近距離や10%ぐらいの力加減の時は出にくい。また遠距離や100%ぐらいの力加減の時も出にくいという結果になっています。今回この事について解説して行きたいと思います。
まず距離が近いと的が大きくなり、距離が離れるにつれて的が小さくなる。逆に距離が遠すぎる場合には相手がボールに合わせて動ける時間的余裕が生まれるので的を大きく設定出来る。だから的が小さくコントロールが要求される中間距離の時、手先に意識が行きやすくイップスが起こりやすい。
10%ぐらいの力加減で投げたり打ったりする場合、比較的近距離なことが多いので的が大きくイップスが起こりにくい。近距離だと手投げ手打ちでも対応出来てしまう。腕を振る速度が遅いので誤魔化しが利く。
30~70%ぐらいの力加減の時は中間距離のことが多く、的が小さく手先に意識が行きやすい。微妙な力加減をしようとすると足の踏み込み幅は小さくなってしまう。足の踏み込み幅が小さいと体重移動と体幹の回転運動が上手く行きにくい。図B
100%ぐらいの力加減の時は、中間距離であっても足の踏み込み幅が大きくなりやすく体重移動と体幹の回転運動が上手く行きやすい。遠距離は100%ぐらいの力加減で対応することが多い。図A
スムーズな体重移動や体幹の回転運動を行うには、股関節・腰椎・胸椎・肋骨の1つ1つが動く体であることが条件です。正しい投げる・打つ動作は、腕が体幹の回転によって遅れて引っ張り出されるような運動です。腕が体幹の回転に引っ張り出されるのを待たずに連動の順番を追い越して腕を前に出そうとした瞬間に体幹の動きは止まり体重移動も回転も不十分になります。小さな的を狙おうとすると、もともと過敏で繊細な手先を意識してしまい手や腕主導の運動になり体幹の運動が不十分なものになりイップスが起こりやすくなります。
治療では、不安を取り除き(心)動ける条件の整った体にし(体)地面をしっかり使いスムーズな体重移動と体幹の力強い回転力を利用し遠心力を最大限に生かして腕を振る(技)ということを身に付けて行きます。
イップス治療方針
関節の軸の運動を歯車に例えるなら、投げる・打つという運動は体幹の大きな歯車の動きに伴って肩甲骨や股関節が動き出し最後に末端の歯車に力が伝わります。正しい運動は、体幹や股関節始動で行われます。イップスの選手は、手先に意識が行き過ぎてしまいます。手先始動では、運動動作は上手く行きません。これは、ダーツや弓道でも同じです。ダーツや弓道では、体幹や股関節は動いてないように見えますが体幹と股関節を使って、しっかり軸として機能させなけらば上手く行ません。
イップスになる前は無かったスイッチがイップスになった途端現れます。プレッシャーのかかる状況になった時、スイッチはONになる。またはスイッチが常にONのままの選手もいます。イップスのスイッチが入ると体幹の歯車の動きに対して肩関節や手関節などの歯車が凍りつき動きにくくなったり、逆方向に動こうとしたりして体幹の歯車に沿った動きをしてくれません。
当院のイップス治療では心・技・体の3つにアプローチして行きます。心は、イップスのスイッチをOFFの状態にしていきます。技は、体幹・股関節始動で他の関節が体幹や股関節の流れに沿った動きが出来るように運動を再構築していきます。体は、骨盤・背骨を矯正しズレや歪みを取り神経の流れを正常にする。骨盤や背骨が正しい位置に戻ると椎骨と椎骨の間にある椎間板がしっかり機能しバランスの良い軸を作ってくれます。
正しい椎間板の機能
スポーツにおけるバランスの良い安定した体幹とは力が釣り合っている状態であって、体幹の静止や固定ではありません。強く固めるような体幹は、実際に投げる・打つといった動作の時に十分に機能してくれません。椎間板の機能をフルに発揮させどんな状況でも瞬時にバランスの取れる安定した軸を作って行くことが大切です。それは、体幹軸の動きに足や腕の動きが影響を受けるからです。大きな歯車の動きに小さな歯車の動きを合わせた方が動きがスムーズですし動きの誤差が少なくなります。イップスの改善で大切なことの1つとして運動動作の再現性を高めることがあります。毎回同じ動きが出来ると思えることが安心感になり自信に繋げてくれます。やみくもに練習を繰り返しても間違った運動パターンが脳にインプットされるだけです。それに間違った運動は、故障に繋がります。間違った動きを続けると歯車の歯が欠けてしまいます。イップスになったら一度冷静になり自分自身としっかり向き合い何をすべきか真剣に考えることが必要です。
当院の技術的な考え②
もしも真っ暗闇で音も聞こえず、匂いもしない風も感じない状態で前に歩くことが出来ますか?
普段、私たちが歩いて目的地に行けるのは、周りの景色や車の通る音、飲食店から出る匂いや海から来る風など感じ取って自分の居る位置を把握します。自分の居る位置が基準になり目的地に行くにはどうするか考え歩き出します。
真っ暗闇で自分がどこに立っているか分からなければ、歩いた先に崖があるかも知れないなど自然と自分の身を守るためにネガティブなことをイメージして怖くて前に進めません。
イップスの選手は、体の軸が不安定で定まっていません。緊張する場面では筋肉が硬くなり体の軸はより一層不安定で定まらないものとなり、自分の体ではないような感覚に陥ります。軸が安定しないということは運動の時に基準となるものがないということです。運動の時に基準となるものがないと、どう投げ始めて良いのかどう打ち始めて良いのか分からなく躊躇します。スタートの時に基準が分からないのでスムーズにフィニッシュまで行くことなど出来ないのです。脳は、軸が定めっていない事を察知しています。だから投げる前からなんとなくイップスが出ることが自分では分かります。(予期不安)
よくイップスの選手に対してポジティブに考えて楽しみながらやれば乗り越えられるなんていうアドバイスをする方がいますが、私は、それはイップスの選手に対してとても酷なことだと思います。何故なら真っ暗闇をポジティブに考え楽しみながら進めば大丈夫と言っているようなものだからです。本人はとても怖くて不安なのです。その恐怖感は、せめて懐中電灯でもなければ解消されません。イップスでは軸の安定感が恐怖感を安心感に変えてくれます。
耳の内耳という所に三半規管があります。体のバランスと保つ役割をします。背骨の椎体と椎体の間には椎間板があります。頸椎2番の下から腰椎5番の下まで計23個の椎間板があります。椎骨と椎骨の間でベアリングの役目をしバランスを取るための手助けをしてくれます。椎骨がズレると椎間板の働きが低下してしまいます。
椎間板の機能
当院のイップス治療では神経の流れを改善することと椎間板の機能を正常にすることを重視します。しっかりとした体の軸を作ることに繋がります。運動指導では、自分の体の軸を意識できるように練習していきます。どんな緊張状態でも自分の体の軸を作ることが出来れば落ち着いてプレー出来ますし、自然と大きく腕が振れます。
イップスで悩んでいるアスリートの方は、今まで改善の為のいろいろ方法に取り組んできたと思います。それでも思うような成果が出ていない選手やどうにか自分のイップスに慣れ対応しているけど満足出来ていない選手がおられると思います。どう投げるとかどう打つとか小手先の技術では到底解決しません。どう投げると考える前に投げる為の体の準備が整っていないのです。イップスを治すには、アスリート自身の思い込みやいろいろと調べて理解していると思っていることを一度忘れて治療に取り組む必要があります。
当院の技術的な考え①
イップスの特徴の一つとして簡単なプレーほど症状が出やすく、難しいプレーの時は症状が出にくいと言われることがあります。一般的な説明では、イップスは意識が介入するほど起こりやすく、難しいプレーでは考える間がないので意識の介入がなくイップスは起こりにくいと言われています。本当にそれだけでしょうか?そのことについて考えてみます。
正常な人(イップスでない選手)の体の軸。軸がしっかりと安定しているので体重移動がしやすく回転力も強い。軸の回転に伴って腕が振れる。
イップスの選手の体は、軸がブレ不安定。軸がブレていると体重移動が上手く行かず早い段階から前方に体重が移動してしまい腕だけ後方に残される。残された腕をどうにか前に出そうとして体は早く開こうとする。(力が入って上手くトップの位置に腕を持って行けなかった場合)その結果、体幹と腕の振りのタイミングが合わず小手先に力を入れ投げるか、タイミングが合っていないことを察知し手は脱力してしまう。
イップスで体の軸がブレている選手が難しいプレーでバランスを崩したとします。
バランスを崩したことを察知した脳は、反射的に体を立て直そうとします。このとき体の軸が安定して結果的に腕が上手く振れる。
◎三半規管がバランスを崩したことを察知した時、無意識に体の立て直そうとして結果的に軸が安定する。野球に限らず、他の競技でも同じだと思います。サッカーならPKのキック。誰にも邪魔されず自分のタイミングで蹴れて簡単に思えますがサッカーの中では一番イップスの症状が出やすいと思います。逆に相手の選手と競り合ってどうにか蹴るような時は、イップスの症状は出にくいのです。ゴルフなら近距離のパット。簡単に思えますがイップスの症状は出やすいのです。バンカーからのアプローチなどは意外と楽に打てることが多いと思います。
一般的にイップスは精神的なものが原因で起こる運動障害と言いますが、それだけでは、説明がつかない事がいろいろとあります。
緊張する場面で出やすく、緊張しない場面では出にくい。出る動きがある程度決まっていて、他の動きの時は出にくい。出やすい力加減、出にくい力加減がある。出やすい距離、出にくい距離がある。
イップスを治す為のヒントは、体が記してくれています。体が教えてくれている事を正確に読み取り対処する事が大切です。
心技体の3つが合わさったものがパフォーマンスだと思います。イップスの成り立ちには、いくつか種類があると思います。今回5タイプに分けてみました。
*体の故障とは、単に痛みがあるかないかということではありません。人それぞれが持っている本来の健康な状態に戻っているかどうか。例えば関節の可動角度が左右同じように動いているか。神経の伝達は正常かなど沢山の検査項目があります。
タイプ➀
緊張する場面のプレーや気を使う相手(例えば怖い先輩など)とのプレーでミスをしないように慎重になる。慎重なプレーをしたことによって本来の自分のホームではなくなり体の動きがバラバラになる。本来の自分の動きが出来なくなった事に気づき慌てて修正しようと練習を繰り返す。そうしているうちに間違ったホームが完全に脳に刻まれる。間違ったホームでプレーを続けていくうちに体のいろいろなところに負担が掛かり故障を繰り返す。
タイプ②
技術の向上を目指し工夫してプレーする。その結果いつもと違うホームになる。動きに違和感が出てきてパフォーマンスが低下する。本来の自分の動きが出来ずフラストレーションが溜まる。どんどん気持ちがネガティブになる。このような状態で練習を続けて行くうちに、体のいろいろなところに負担が掛かり故障を繰り返す。
タイプ③
体の故障でしばらく練習を休む。痛みが取れて練習に参加した時、故障した部位をかばいながらプレーする。だんだん本来のホームが分からなくなり失敗を繰り返す。翌日も上手く行かずパニック状態に陥る。そして気持ちがネガティブになる。このような状態で練習を続けて行くうちに、間違ったホームが完全に脳に刻まれる。技術が本来の状態から掛け離れたものになってしまう。
タイプ④
体の故障があって痛みがあるが大会前のレギュラー争いで練習を休まずに行った。痛みの為、ホームがいつものように出来ない。それでも痛みを我慢してやっている内にホームが分からなくなる。痛みと失敗の繰り返しで気持ちがどんどん落ち込んでいく。
タイプ⑤
心・技・体どれかから発症したイップスが月日が経つに連れ複雑化して行く。心・技・体がお互いに邪魔をしあいパフォーマンスは著しく低下する。
◎イップスを治療する時に心・技・体のどれから発症し、心・技・体のどれをよりフォーカスして治療を進めて行くかが大切です。
イップスとは、ネガティブな体験をしたことによって、心に出来たシコリやシミのような物が動きの邪魔をしてしまう。
よくイップスを理解していない方は、イップスを治そうとして運動動作(ホーム)に手を加えようとします。それは大きな間違いです。体が思い通りに動かない状態があるから今の運動動作(ホーム)になっているのです。原因があって結果があります。目に見える運動動作(ホーム)は、結果に過ぎません。原因ではないのです。原因ではない運動動作(ホーム)をいじくると体は嫌がります。間違った試みは、ことごとくイップスに跳ね返されます。そして体が嫌がるとリバウンドが起きます。そうすると心のシコリは大きくなり、シミはもっと濃くなります。その結果、動きはさらに悪くなる。
体と心のバランスを良くしてシコリを小さく、シミを薄くすることが出来れば、自然と運動動作(ホーム)は良くなります。最終的には、心のシコリやシミを消し去るのが目標です。後は、イップスの方は、運動をする時に押し寄せる不安感から過度な運動調節をすることが習慣付いているので、過度な運動調節をしない為のやり方を指導する。しっかりした方向性が分かっていれば、早い段階で良い結果として現れます。
間違えてダメなことは、イップス治療は何かを付け加えたり何かを変えたりすることではなく、余分なものを消したり取り除くことです。そしてイップスになる前、何も意識しなくても運動が当たり前に出来ていた数カ月前・一年前・三年前・五年前の感覚に戻す。そうすることで本来の自分の動きを取り戻せます。
テーブルのメンテナンスをして今年の仕事は、終了です。長く良い状態で使おうと思ったら、定期的なメンテナンスは、欠かせません。メンテナンスして、いつも使いやすい状態に保っていないと良い治療は、出来ません。テーブルの調子が悪くなってから、手入れするのでは、遅いです。
人の体も同じで普段からのメンテナンスが大切です。カイロプラクティックは、予防医学です。日本では、認識せれていない部分も多いですが、予防医学なので、症状が無くても定期的に治療を行い良い状態を保ち続ける事が一番大事です。
今、日本の平均寿命は、女性87.14歳 男性80.98歳 です。一つの治療目標として当院では、90歳までは、自分の足で歩けるような状態でいて頂きたいと思って治療しています。簡単なことでは、ないですが自分の足で歩けるということは、QOL(生活の質)を維持する為には、重要です。患者さん自身が自分の体の事を真剣に考える事も必要です。
今年一年いろいろとお世話になりました。また来年から新たな気持ちで頑張ってやっていきますので、よろしくお願いします。
患者さんが初めて来院される時、腰が痛いとか足が痺れるとか症状があって来られます。腰が痛くなった時、整形外科に行ったり整骨院に行ったりします。お腹が痛くなったら内科の病院に行くと思います。それは、患者さん本人がこの症状の時には、〇〇病院の〇科に行くということをすでに理解し分かっているからです。整形外科に行けばレントゲンを撮って何か異常は無いかしっかり診てくれます。内科に行けば血液検査などして内科的なことをしっかり診てくれます。
日々、患者さんと接していると大抵の患者さんは、腰も痛いし、なんだか胃腸の調子も悪くて頭痛もあって、血液検査をすれば異常な数値が出る。このような患者さんは、多いです。このような患者さんに腰を良くしようと思って、腰を一生懸命治療して良くなるのか?
当院では、細かな問診票の記入、問診、検査、必要があればレントゲンを使って患者さんの体の不調の本質に近づけるようにしていきます。症状を追いかける治療ではなく。症状を踏まえて上で、いろいろな症状の本当の原因は、何なのかしっかり考えていきます。
だから治療では、患者さんの体をたくさん触りません。治療の必要なところだけに絞って治療するように心掛けています。
治療することよりも、まず大切なことは正しく検査し患者さんの身体の状態を正しく知ることです。
当院の検査では、①問診②視診③ナーブスコープによる計測④静的触診⑤動的触診(⑥レントゲン画像分析)+⑦整形外科的検査を行い総合評価をして、どの骨をどの方向に矯正するかを決定します。ここまでがとても大切です。正しく検査して正しく評価出来なければ、その後の治療は、全く意味がありません。
特に初めての患者さんの検査は、時間をかけて行います。良い結果を出す為には、大切なことだと思っています。