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イップスのお父さん応援します

親子キャッチボール
 学生時代野球部で頑張っていて、その頃にイップスになってしまい何年も経った今も引きずっている方は多いと思います。お子さんとキャッチボールしたいという気持ちは、あるものの投げることに対しての恐怖感や自信が持てなく避けてしまう。お子さんからしてみればキャッチボールしたいとお願いしても、何だかんだ言い訳されて断られるとこは悲しいことだと思います。

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 お子さんとキャッチボールが出来る時期は限られています。親子でキャッチボールをしたということは二人にとって大切な思い出になります。イップスを克服することは自分自身のことを深く知ることに繋がります。克服出来たということは自信に繋がり生活の他の面にも良い影響が出て来るものです。
 私は親子でキャッチボールをすることは大切なコミニュケーションの一つで、大切な思い出の一つになることだと思っています。大切な人生の1ページです。お子さんと楽しんでキャッチボール出来るようにお手伝いさせて頂きます。

2019年03月02日

イップス研究報告⑨

投球おける遠心力 

 今回、技術的な話をしたいと思います。体幹の回転運動で腕が振り出されて遠心力を使って投げるということについて考えていきます。

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 紐に重りを付けた振子は、軸に回転する動きがなければ遠心力が働かず真下で停止しています。

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 軸を回転させると振子に遠心力が働き、軸から離れながら軸の回転方向に進んで行きます。黄色の矢印の方向に遠心力は働きます。

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 さらに軸の回転速度を上げて行くと振子に強い遠心力が働き、軸に対して直角のところに来ます。遠心力が最大でこの位置に来ます。遠心力は中心軸から離れようとする力なので、これ以上振子が上に上がることはありません。

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 実際に投球動作の時にどのように遠心力が働いているか説明していきます。サイドスローの場合、体幹軸は地面に対して直角ぐらいで、遠心力が上手く使えている状態の時、上腕軸は体幹軸に対して直角になります。黄色の矢印が遠心力の働く方向で体幹軸から離れようとする方向になります。緑線を見て頂くと手の位置が肘より外側にあります。トップの位置では、手が肘よりやや内側にありますが、(トップの位置で、すでに手が肘より外側に来ている選手がいますが、この投げ方は肘や肩の負担がかかるのでお勧めしません。)遠心力で加速がついた時には手の位置が肘より外側来ます。これは遠心力が働くと体幹軸から離れようとするから自然とそのようになるのです。

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 オーバースローの場合は、踏み出した足の方に体幹軸を傾けます。そのこと以外はサイドスローの場合と全く同じです。正しいオーバースローの投げ方は腕を上げているのではなく体幹軸自体が踏み出した足の方に傾くから結果的に腕が上がっているように見えるのです。あくまでも遠心力は体幹軸から腕が離れようとする力で体幹軸と上腕軸の関係は直角になります。(遠心力は黄色矢印の方向)

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 アンダースローの場合は、逆に踏み出した足とは反対の方に体幹軸を傾けます。そのこと以外はサイドスローと全く同じです腕を下に下げて投げているのではなく、体幹軸を踏み出した足とは反対の方に傾けるから結果的に腕が下がって見えるのです。この時も遠心力は体幹軸から離れようとする方向です。(黄色矢印)

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 悪い投げ方を説明していきます。遠心力が上手く使えている場合、体幹軸に対して上腕軸は直角になります。肘の位置が上腕軸の青線より上がっても下がってもダメなのです。黄色線が上腕軸だとしたら体幹軸と直角の関係になっていないので遠心力は上手く使えていないことになります。次に緑線を見てみると手が肘より内側に来ています。これも遠心力を上手く使えていない証拠です。

 イップスの選手は体幹軸と上腕軸の関係が乱れます。関係が乱れているから体幹回転時に肘か上がり過ぎたり下がり過ぎたりします。体幹軸の遠心力が使えず手は肘より内側を通ります。(屈筋優位も影響する。腕が縮こまる)サイドスローで考えてみると体幹軸が横方向の回転をしているのに手が肘より内側に来ているということは、腕自体は縦に振っていることになり体幹と腕の振りにはバラバラの力が働き体幹の体重移動や回転力はまったく腕には伝わっていないことになります。結果、手投げになるということです。

 イップスの選手の体はホームをいじられること嫌がることが多々あります。当院では動きのドリルをこなしながら正しい関節の動きを身に着け、物理的に正しい投球ホームを自然に習得出来るようにしています。目指すべき技術として①トップの位置では手が肘より内側を通り、体幹軸の回転で遠心力の加わった時には手が肘より外側を通り、しっかり遠心力を腕に伝えられる。②体幹軸の遠心力が腕に伝わり自然に体幹軸と上腕軸が直角になる。③トップの位置の前後で腕に働く慣性の力(物体が進んでいる方向に進み続けようとする力)を有効に使い体幹軸の回転に腕を乗せる。イップスでなくても慣性の力を殺しながら投球している選手はたくさんいます。慣性の力を利用するにはコツがいりますが上手く身に着けられる方法を行います。習得出来れば格段に技術力は上がります。この事は、ほとんどの競技で共通することです。

 イップスを治していくに当たって正しい技術を理解し身に着けることも大切なことの1つです。

2019年02月13日

イップス研究報告⑧

防衛本能とイップス② *すくみ(恐怖)反応 ・身構える・防御勢・恐怖に怯える

 イップスは、いつ起きるのか?ある研究機関の実験を引用させて頂きます。恐怖条件づけ・すくみ(恐怖)反応の実験結果です。マウスに対してブザー音の後に電気ショックを行った。これを何度か繰り返すとマウスはブザー音が聞こえたら、すくみ(恐怖)反応を示すようになる。恐怖条件づけ、すくみ(恐怖)反応の強さは繰り返すたびに増加する。これは、ブザー音の後に電気ショックが来るということを予測し身構え防御態勢をとっていることの表れです。恐怖条件づけ、すくみ(恐怖)反応は魚類、マウス、人間といった多くの生物で認められる普遍的な現象のようです。

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 右バッターの時だけイップスが起こるピッチャー。バント処理などでファーストに送球する時だけイップスが起こるピッチャー。バント処理などでサードに送球する時だけイップスが起こるピッチャー。ピッチャーに返球する時だけイップスが起こるキャッチャー。サーブの時だけイップスが起こる卓球選手。パターの時だけイップスが起こるゴルファー。PKの時だけイップスの起こるサッカー選手。ボールは投げられるがダーツが投げられないダーツの選手。練習では起こらず試合の時だけイップスの起こる選手。怖い先輩相手の時だけイップスが起こる選手。監督・コーチに見られている時だけイップスが起こる選手。

 その行為だけ恐怖条件づけされていて、すくみ(恐怖)反応が起こるのかも知れません。行為そのものがブザーの役割をしているのです。送球全般でイップスが起こる選手は、送球そのものが恐怖条件づけられています。素振りは出来るがボールを打とうとするとイップスが起こるゴルファーも同じです。

 

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 右バッターの時だけブザーが鳴りイップスのスイッチがNOになるピッチャー。バント処理などでファーストに送球する時だけブザーが鳴りイップスのスイッチがONになるピッチャー。サーブの時だけブザーが鳴りイップスのスイッチがNOになる卓球選手。また球場・体育館・競技場に行くだけでブザーが鳴りイップスのスイッチがONになる選手がいたり、家を出て球場・体育館・競技場に向かっている時に早々とブザーがなってしまう選手もいると思います

 一度の失敗では条件づけされなくても、次は失敗出来ないと強く思い再度失敗してしまう。気持ちは焦りパニックの状態でもう一度失敗してしまう。それは恐怖体験となり心にトラウマとして残ります。それと同時にその行為が条件づけされイップスを発動させるブザーが出来るのです。

 ボールを投げる時、リリースの瞬間にイップスが起きているのではなく、少なくとも投げる行為自体がイップスで、その行為が始まった時点から起きていると考えられます。リリースの瞬間が気になるのはよく分かりますが、貯まった運動エネルギーを最終的にボールに伝える瞬間がリリースに過ぎません。リリースの瞬間だけを見るのか、全体像を見るのかでイップス改善のアプローチは、まったく違うものになってくると思います。

2019年02月08日

イップス研究報告⑦

防衛本能とイップス①

 動物には防衛本能がある。危機的状況が迫った時に命を守る手段として①闘争(攻撃行動)②逃走(危険対象から離れ命を守る)③防御(・背を向けて丸くなる・硬い背部を表にする・表面積を小さくする・柔らかい腹面には大切な内臓があるのでしっかり守る)。地球に最初の生命が誕生したのは約 38億年前のことです。進化の過程で生き残るために動物はいろいろな本能を獲得して来ました。その中の1つが防衛本能です。

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 もちろん防衛本能は人間にも備わっていて、例えば工事中のビルの近くを歩行中に、「危ない!」という声が聞こえたら咄嗟に頭を隠して体を丸くすると思います。人間の場合、学習して危険な時には大切な頭を守るということを意識的にやっている部分もあると思いますが、無意識的に防衛本能が働いて体を守る態勢になっている部分もあるのです。

 

問診

 スポーツにおける大事なプレーの時にミスしてはいけないと思う気持ちやミスをして落ち込む気持ちやミスによる羞恥心は、危機的状況として処理されてしまうことがあります。危機的状況での恐怖体験はトラウマになり心に残ります。体験したことが恐怖かどうかは意識的に決めるのではなく、無意識的に心が恐怖だと感じれば恐怖でありトラウマになってしまうことがあるのです。トラウマが心の中に残り同じ恐怖を予感させる状況になった時、危険を避け生き抜くための防衛本能が無意識に働きます。

 正しい運動は骨盤が前傾気味で伸筋がやや緊張した状態で行われる。体重移動や回転運動がスムーズに出来る状態です。

 

問診

 逆に危機的状況を予感して防衛本能が働いた状態が心の面から見たイップスの状態で無意識に防御態勢をとろうとする。防御態勢とは、体を丸くし腕や足は曲げた状態です。イップスの起こっている時、体幹は屈筋優位の状態となり骨盤が後傾し背中はやや丸くなる。手・腕・足も屈筋優位で伸びにくくなる。

 

問診

 イップスで骨盤が後傾し背中がやや丸くなった状態では、まず体重移動と回転運動が上手く行かない。胸を張る動きも出来ないのでトップの位置に手を持って行けない。腕も屈筋優位の状態で投げる・打つの動作の時、腕が縮こまり、手の筋肉も屈筋優位でボールが指に引っ掛かり地面に叩きつけるような送球になる。ボールが指に引っ掛かることを避けたくて無理やり力を抜こうとするとボールの下を指で撫でる形になり高めに浮く。酷いと投げる動作の途中で落球する。イップスの選手でよくある話ですが感覚が無く自分の腕・手ではないように感じる。手に手袋をハメている様で感覚が鈍い。最終的に自分の身を守れず動物が捕食動物に捕食される時、防衛本能の最終手段として痛みを感じないように麻痺状態になると言われています。もしかしたらイップスの腕・手の感覚が鈍くなるのも関連性があるのかも知れません。

 イップスは動物が本来、命を守り生き抜くための防衛本能が正しく働いた状態で異常なことではないと思っています。健康な状態の選手に当たり前に起こり得ることなのです。

2019年02月06日

イップス研究報告⑥

イップスの起きやすい力加減と距離

 下の奇妙な絵は、ホムンクルスの脳の領域と言って脳の領域の割合を示したものです。絵を見ると手がとても大きくなっているのが分かります。手がより敏感で繊細な動きが出来る事を示しています。サッカーなど足をよく使う競技の選手の場合、鍛錬のよって足の領域が大きくなるので足の動きに関してもイップスは起こります。失敗などがトラウマになり不安な気持ちになった時、感覚が敏感で繊細な動きの出来る手に頼りたくなります。でも手に頼ろうとすると過剰に手先に意識が行き手先主導の投げる・打つという動作になってしまいます。本来、足→体幹→腕→手の順番で力が伝わるのに手先始動になると動くタイミングがバラバラになり、それを察知した脳は異常に気づき動きを停止するか筋肉が硬くなります。それが運動面から見たイップスのメカニズムと言ってもよいのかも知れません。期間が長くなれば手先主導の間違った動きを脳は記憶してしまいます。

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 イップスは微妙な距離や微妙な力加減で起きやすいと言われます。当院のアンケートでも中間距離で30~70%の力加減の時にイップスは出やすいという結果になっています。近距離や10%ぐらいの力加減の時は出にくい。また遠距離や100%ぐらいの力加減の時も出にくいという結果になっています。今回この事について解説して行きたいと思います。      

 まず距離が近いと的が大きくなり、距離が離れるにつれて的が小さくなる。逆に距離が遠すぎる場合には相手がボールに合わせて動ける時間的余裕が生まれるので的を大きく設定出来る。だから的が小さくコントロールが要求される中間距離の時、手先に意識が行きやすくイップスが起こりやすい。

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 10%ぐらいの力加減で投げたり打ったりする場合、比較的近距離なことが多いので的が大きくイップスが起こりにくい。近距離だと手投げ手打ちでも対応出来てしまう。腕を振る速度が遅いので誤魔化しが利く。

 30~70%ぐらいの力加減の時は中間距離のことが多く、的が小さく手先に意識が行きやすい。微妙な力加減をしようとすると足の踏み込み幅は小さくなってしまう。足の踏み込み幅が小さいと体重移動と体幹の回転運動が上手く行きにくい。図B

 100%ぐらいの力加減の時は、中間距離であっても足の踏み込み幅が大きくなりやすく体重移動と体幹の回転運動が上手く行きやすい。遠距離は100%ぐらいの力加減で対応することが多い。図A

問診

 スムーズな体重移動や体幹の回転運動を行うには、股関節・腰椎・胸椎・肋骨の1つ1つが動く体であることが条件です。正しい投げる・打つ動作は、腕が体幹の回転によって遅れて引っ張り出されるような運動です。腕が体幹の回転に引っ張り出されるのを待たずに連動の順番を追い越して腕を前に出そうとした瞬間に体幹の動きは止まり体重移動も回転も不十分になります。小さな的を狙おうとすると、もともと過敏で繊細な手先を意識してしまい手や腕主導の運動になり体幹の運動が不十分なものになりイップスが起こりやすくなります。

 治療では、不安を取り除き(心)動ける条件の整った体にし(体)地面をしっかり使いスムーズな体重移動と体幹の力強い回転力を利用し遠心力を最大限に生かして腕を振る(技)ということを身に付けて行きます。

2019年01月16日
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